2025年01月08日

ユーロ圏失業率(2024年11月)-失業率・若年失業率ともに横ばい推移

経済研究部 主任研究員 高山 武士

文字サイズ

1.結果の概要:失業率は6.3%で横ばい推移

1月7日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2024年11月、季節調整値)】
失業率は6.3%、市場予想1(6.3%)と一致、前月(6.3%)から横ばいだった(図表1・2)
失業者は1081.9万人となり、前月(1085.8万人)から3.9万人減少した

(図表1)ユーロ圏失業率/(図表2)ユーロ圏失業率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率も横ばい推移

ユーロ圏(20か国)の11月の失業率は6.3%となり、統計データ公表以来の最低値で4か月連続の横ばい推移となった。また、10月以前の過去データは、ほとんど変更されなかった。

失業者数は11月の前月差で3.9万人減となり、2か月連続の減少となった。主要4か国で見るとフランス(3.8万人)が増加したが、イタリア(▲2.3万人)、スペイン(▲0.5万人)、ドイツ(▲0.2万人)は減少した。ドイツは2か月、イタリアは5か月連続での減少だった。失業者数はコロナ禍前より90万人少なく、スペイン(コロナ禍前比▲55万人)とイタリア(同▲42万人)の失業者減少の寄与が大きい(図表3)。特に24年以降はイタリアの失業者の減少が加速しており、失業率で見ても、他の主要国と比較して顕著に低下している(図表2、ただし、失業者減少の一部は非労働力人口になっていると見られ、労働参加率が低下している。後継図表7参照)。

11月の若年失業率は15.0%となり、10月(15.0%)から横ばい推移となった。また、過去データもほとんど変更されなかった。若年失業者数は11月で242.3万人(前月差0.2万人)と7か月連続で増加しており、24年5月以降の若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の233.4万人)を上回る状態が続いている(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の11月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が4か国、改善が6か国、横ばいが10か国だった(図表5)。若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が7か国、改善が9か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少する一方、就業者も減少し、非労働力人口が増加している(図表7)。ポルトガルは失業者、雇用者、非労働力人口のいずれもが増加する形となっている(図表8)。労働参加率はイタリアでは低下傾向にある一方、ポルトガルでは高水準を維持している。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年01月08日「経済・金融フラッシュ」)

Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

ピックアップ

レポート紹介

【ユーロ圏失業率(2024年11月)-失業率・若年失業率ともに横ばい推移】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

ユーロ圏失業率(2024年11月)-失業率・若年失業率ともに横ばい推移のレポート Topへ