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- 英国雇用関連統計(24年11月)-賃金上昇率は前年比5.2%まで上昇
2024年12月18日
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1.結果の概要:週平均賃金は5.2%まで上昇
12月17日、英国国家統計局(ONS)は雇用関連統計を公表し、結果は以下の通りとなった1。
【11月】
・失業保険申請件数2は前月(176.82万件)から0.30万件増の176.85万件となった(図表1)。
・申請件数の雇用者数に対する割合は4.6%となり、前月(同4.6%)から横ばいだった。
・給与所得者数3は前月(3037.2万人)から3.5万人減の3040.8万人となった。増減数は前月(2.4万人)からマイナスに転じ、市場予想4(▲1.0万人)を上回った。
【10月(24年8-10月の3か月平均)】
・失業率は4.3%で前月(4.3%)から横ばい、市場予想(4.3%)と一致した(図表1)。
・就業者は3377.0万人で3か月前の3359.7万人から17.3万人増加した。増減数は市場予想(0.5万人)を下回り、前月(25.3万人)から増加した。
・週平均賃金は前年比5.2%で前月(4.4%)から上昇、市場予想(4.6%)を上回った(図表2)。
1 労働力調査ベースの統計については、回答率の低下を受け、ONSでは開発中の公式統計という位置付けで公表されている。。
2 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは開発中の公式統計という位置付けで公表している。。
3 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した統計。直近データは約85%のデータから推計。。
4 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2.結果の詳細:総じて賃金上昇圧力が強い結果
まず11月のデータとして公表されている求人数および給与所得者数を確認すると、求人数が9-11月の平均で81.8万件となり、22年3-5月平均(130.4万件)をピークとした減少傾向が継続している(図表3)。また、コロナ禍直前(19年12月-20年2月期)の81.9万件も下回った。なお、11月単月の求人数は79.6万件だった5。
給与所得者データは、11月の給与所得者数(速報値)が前月差で▲3.5万人となった。なお、過去の数値は直近の変化数がやや改善方向に改定された(10月▲0.5万人→2.4万人、9月▲0.9万人→▲0.4万人など)。産業別には卸・小売業、飲食・居住、専門・技術サービス、製造業といった業種の前月差減少幅が大きかった。11月の給与額(中央値)伸び率は前年同月比6.3%となり、10月(7.9%、改定前は7.0%)から減速したものの依然高い伸び率を維持している。
給与所得者データは、11月の給与所得者数(速報値)が前月差で▲3.5万人となった。なお、過去の数値は直近の変化数がやや改善方向に改定された(10月▲0.5万人→2.4万人、9月▲0.9万人→▲0.4万人など)。産業別には卸・小売業、飲食・居住、専門・技術サービス、製造業といった業種の前月差減少幅が大きかった。11月の給与額(中央値)伸び率は前年同月比6.3%となり、10月(7.9%、改定前は7.0%)から減速したものの依然高い伸び率を維持している。
労働時間は32.1時間(前年差0.6時間)、フルタイム労働者で36.8時間(同0.6時間)となった(前掲図表2)。名目賃金は前年比で5.2%となり、前月(4.4%)から大幅に上昇した(なお、6-8月には昨年の公的・医療部門の賃上げによるベース効果が存在しており、6・7月分が剥落したことが反発に寄与したと見られる、図表5)。ベース効果の影響が小さいボーナスを除く定期賃金伸び率も前年比5.2%と前月(4.9%)から上昇、市場予想(5.0%)を上回った。同数値を3か月前比年率で見た賃金上昇の勢いは4.5%(前月4.3%)と加速している。実質ベースの伸び率は、ボーナス含みで前年比2.2%(前月1.5%)、ボーナスを除きで同2.2%(前月1.9%)だった。
処遇改善を求めたストライキは、10月は件数ベースで30件(9月30件)、労働損失日数で4.2万日(9月4.8万日)となっており、9月並みの低水準で推移している(図表6)。
5 3か月平均のデータは季節調整値だが、単月データは未季節調整値のため季節性が除去されていないため留意が必要。
処遇改善を求めたストライキは、10月は件数ベースで30件(9月30件)、労働損失日数で4.2万日(9月4.8万日)となっており、9月並みの低水準で推移している(図表6)。
5 3か月平均のデータは季節調整値だが、単月データは未季節調整値のため季節性が除去されていないため留意が必要。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年12月18日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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