2024年12月03日

ユーロ圏失業率(2024年10月)-失業率は過去最低の6.3%で横ばい推移

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.3%で横ばい推移

12月2日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2024年10月、季節調整値)】
失業率は6.3%、市場予想1(6.3%)と一致、前月(6.3%)から横ばいだった(図表1)
失業者は1084.1万人となり、前月(1084.4万人)から0.3万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率は小幅上昇、過去数値も悪化方向に改定

ユーロ圏(20か国)の10月の失業率は6.3%となり、統計データ公表以来の最低値で3か月連続の横ばい推移となった。また、9月以前の過去データは、ほとんど変更されなかった。

失業者数は10月の前月差で0.3万人減となり、9月の増加(1.0万人)からマイナスに転じた。主要4か国で見ると、フランス(3.6万人)は増加、スペイン(0.1万人)が微増、イタリア(▲5.9万人)とドイツ(▲1.0万人)は減少した。ドイツは3か月、イタリアは4か月連続での減少で、スペインは9月まで8か月連続で減少していたが、10月は増加した。失業者数はコロナ禍前より88万人程度少なく、スペイン(コロナ禍前比▲55万人)とイタリア(同▲10万人)の失業者減少の寄与が大きい(図表3)。

10月の若年失業率は15.0%となり、9月(14.9%、改定前14.4%)から小幅に上昇した。ただし、過去データが大幅に悪化方向に修正された(8月14.3→14.9%、7月14.4→14.9%)。若年失業者数は10月で242.7万人(前月差3.5万人)となった(過去データは6-8月に3か月連続での減少となっていたが、すべて増加に改定された)。その結果、24年5月以降の若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の233.4万人)を上回る状態となった(図表4、改定前は24年9月までコロナ前の水準を下回っていた)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の10月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が7か国、改善が4か国、横ばいが9か国だった(図表5)。若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が9か国、改善が6か国、横ばいが1か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少する一方、雇用者と非労働力人口が増加した(図表7)。ポルトガルは失業者が微減、非労働力人口数と雇用者数がともに増加する形となっている(図表8)。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年12月03日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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