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- 景気ウォッチャー調査2024年11月~インバウンド需要の拡大により景況感は改善~
2024年12月10日
1.景気の現状判断DI(季節調整値)は前月差1.9ポイント上昇の49.4
内閣府が12月9日に公表した景気ウォッチャー調査によると、24年11月の景気の現状判断DI(季節調整値)は前月差1.9ポイント上昇の49.4となり、3か月ぶりの上昇となった。
地域別では、全国12地域すべての地域で現状判断DIが上昇した。最も上昇幅が大きかったのは甲信越(前月差4.4ポイント上昇)で、最も上昇幅が小さかったのは近畿(同1.1ポイント上昇)であった。
現状判断DI(季節調整値)の内訳をみると、家計動向関連(前月差3.2ポイント)、企業動向関連(同▲1.0ポイント)、雇用関連(同▲0.3ポイント)であった。今回の調査結果をふまえて内閣府は「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている。」との見方を示した。
地域別では、全国12地域すべての地域で現状判断DIが上昇した。最も上昇幅が大きかったのは甲信越(前月差4.4ポイント上昇)で、最も上昇幅が小さかったのは近畿(同1.1ポイント上昇)であった。
現状判断DI(季節調整値)の内訳をみると、家計動向関連(前月差3.2ポイント)、企業動向関連(同▲1.0ポイント)、雇用関連(同▲0.3ポイント)であった。今回の調査結果をふまえて内閣府は「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている。」との見方を示した。
2.インバウンド需要の拡大により、家計動向関連の小売関連は大幅に改善
家計動向関連では、小売関連(前月差5.2ポイント)や住宅関連(同3.1ポイント)が大きく改善したものの、サービス関連(同▲0.7ポイント)はやや悪化した。コメントをみると、「今年は紅葉が遅かったため、11 月もインバウンドが多い。特に個人旅行の動きが顕著である」(東北・都市型ホテル)や「今月10日前後から観光等で人出が増加している」(中国・タクシー運転手)など、インバウンド需要の好調さがうかがえる。
企業動向関連では、製造業(前月差▲1.1ポイント)や非製造業(同▲0.9ポイント)が悪化した。コメントをみると、「依然として、原材料価格や電気料金が高止まりしている上に、最低賃金の引上げもあって赤字になる」(甲信越・食料品製造業)や「物価の上昇傾向が止まらないため、経営に有形無形の影響が出そうである」(北陸・輸送業)など、原材料の価格上昇による影響がみられる。
企業動向関連では、製造業(前月差▲1.1ポイント)や非製造業(同▲0.9ポイント)が悪化した。コメントをみると、「依然として、原材料価格や電気料金が高止まりしている上に、最低賃金の引上げもあって赤字になる」(甲信越・食料品製造業)や「物価の上昇傾向が止まらないため、経営に有形無形の影響が出そうである」(北陸・輸送業)など、原材料の価格上昇による影響がみられる。
雇用関連では、「今後も人手不足が続くとみられるなか、採用活動を継続している企業が多い。雇用形態を見直す企業も増えている」(北海道・大学)や「人手不足感が継続している。不人気の業界のなかでも、特に中小企業は常に募集をしているものの人が集まらず、3か月前と状況は変わらない」(北陸・民間職業紹介機関)など、企業の人手不足解消には時間を要しそうだ。
3.景気の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差1.1ポイント上昇の49.4
家計動向関連では、「初売りや決算の時期になり、来客数、販売数が増えるとみている」(東北・乗用車販売店)や「大型クルーズ船の寄港などインバウンドが好調となっている。また、イベントが多くなりホテルの予約も埋まっている状態が続いているため、堅調さを維持できる」(九州・タクシー運転手)など、物価高による節約志向はあるものの、年末年始の購買意欲上昇への期待がみられる。
企業動向関連では、「円安傾向が継続しており、エネルギー、原料価格が高止まりしているなかで、各業種が足並みをそろえて値上げを実施している。年明けにも食品業界の値上げは予定されており、業界全体で売上増加につながる良いサイクルとなっている」(四国・食料品製造業)など、食品業界でコスト増加による価格転嫁が進んでいる企業もみられる。
雇用関連では、「人材派遣、人材紹介共にニーズはあるものの、マッチするスキルや経験のある人材がおらず、依頼にこたえられないケースが増えている」(南関東・人材派遣会社)や「人手不足が続いているが就職件数は伸びていない。事業を廃止する企業もあり景気上昇の要因がみられないことから、今後も横ばいが予想される」(九州・職業安定所)など、企業が求める人材と求職者のスキルや経験の不一致により、人材のアンマッチが起きていることがわかる。
2024年11月調査の結果は、インバウンド需要の拡大により、現状の景況感が改善していることを示すものであった。家計動向では気温低下による冬物需要や年末商戦に加えて、今年の年末年始は12月30日~31日が休みとなる人にとっては9連休(12月28日~1月5日)となることから、旅行需要も期待されるだろう。
企業動向関連では、「円安傾向が継続しており、エネルギー、原料価格が高止まりしているなかで、各業種が足並みをそろえて値上げを実施している。年明けにも食品業界の値上げは予定されており、業界全体で売上増加につながる良いサイクルとなっている」(四国・食料品製造業)など、食品業界でコスト増加による価格転嫁が進んでいる企業もみられる。
雇用関連では、「人材派遣、人材紹介共にニーズはあるものの、マッチするスキルや経験のある人材がおらず、依頼にこたえられないケースが増えている」(南関東・人材派遣会社)や「人手不足が続いているが就職件数は伸びていない。事業を廃止する企業もあり景気上昇の要因がみられないことから、今後も横ばいが予想される」(九州・職業安定所)など、企業が求める人材と求職者のスキルや経験の不一致により、人材のアンマッチが起きていることがわかる。
2024年11月調査の結果は、インバウンド需要の拡大により、現状の景況感が改善していることを示すものであった。家計動向では気温低下による冬物需要や年末商戦に加えて、今年の年末年始は12月30日~31日が休みとなる人にとっては9連休(12月28日~1月5日)となることから、旅行需要も期待されるだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年12月10日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2020年4月 株式会社横浜銀行
2024年9月 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
佐藤 雅之のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/01/15 | 景気ウォッチャー調査2024年12月~インバウンド需要は好調継続~ | 佐藤 雅之 | 経済・金融フラッシュ |
2024/12/10 | 景気ウォッチャー調査2024年11月~インバウンド需要の拡大により景況感は改善~ | 佐藤 雅之 | 経済・金融フラッシュ |
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