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金利中心の政策運営を目指す中国人民銀行の挑戦-金融政策枠組みの「中国式現代化」の歩みと展望

経済研究部 主任研究員 三浦 祐介
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- 中国では、金融政策の運営において長らく「量」(銀行貸出の総量や通貨供給量など)に重点が置かれてきたが、習政権発足後の約10年間で、「価格」(金利)のコントロールに軸足をおいた金融政策へと移行すべく、政策金利体系の構築や金利の伝達メカニズムの整備などが進めされてきた。ただ、年間の経済政策の目標の中には、今でも資金供給の規模に関する金融指標が盛り込まれているなど、「量」というくびきからまだ逃れることができていない。
- 中国人民銀行(PBOC)の潘総裁は、今後、金融政策の枠組み見直しを一段と進める考えを示している。「量」に関する指標は参考程度の位置づけとし、金利の調節に重点を置いた政策運営へと本格的に移行する方針だ。従来は短期・中期の2本立てであった政策金利の一本化のほか、金利コリドーやLPR、PBOCのコミュニケーションのあり方の見直しなどを通じた金利の伝達メカニズムの改善が進む見込みである。
- もっとも、金利中心の金融政策運営の基本的な制度的枠組みが整ったとしても、それを有効に機能させるうえでは依然として課題が多い。また、金融リスク管理等の理由から、中国人民銀行は、市場での金利プライシングに関与の余地を残しており、金利の完全な市場化が実現することは当面考えづらい。金融市場の不安定化をもたらすことなく、円滑な移行を実現することができるか今後の動向には引き続き注視が必要だ。
■目次
1――はじめに
2――これまでの取り組み
1|政策金利体系の構築
2|政策金利から市場金利への伝達メカニズムの整備
3|新たな枠組みは徐々に定着
3――これからの取り組み
1|金利の調節に重点を置いた政策運営への本格移行
2|金利伝達メカニズムの向上に向けた制度の見直し・改善
4――今後の展望
1|金利中心の金融政策が有効に機能するか
2|金利の市場化は進むか
5――おわりに
(2024年10月15日「基礎研レポート」)

03-3512-1787
- 【職歴】
・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
・2009年:同 アジア調査部中国室
(2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
・2020年:同 人事部
・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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