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票のために揺れる米国の気候変動対策-なかなか「セクシー」には進まない-

保険研究部 主任研究員・気候変動リサーチセンター兼任 磯部 広貴
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現在行われている米国大統領選では気候変動に関する議論が不十分との指摘もあるが、そのように感じられる一因として、気候変動への姿勢が経済政策-端的にはどの産業を保護するか-の中に取り込まれてしまっていることもあろう。
共和党候補であるトランプ氏は、気候変動否定論者であることに変わりないと見られているものの、かねて反対してきたEV(電気自動車)に肯定的な発言が増えている。EV製造大手であるテスラの経営者イーロン・マスク氏の支持を受けており、既に産業として育ちつつあるEV業界を敵に回したくないとの判断ゆえと思われる。
他方、民主党候補であるハリス副大統領は、化石燃料を採掘する手法として環境への負荷が高いフラッキング(水圧破砕法)について、かつて禁止を主張していたものの現在は明確に容認する立場に転じた。大統領選の命運を左右する激戦州の1つ、ペンシルバニア州でフラッキングに頼る天然ガス業界を取り込む狙いとみられる。
票のために大統領候補が現実に妥協する米国の気候変動対策は、2019年に小泉進次郎氏(当時は環境大臣)が言及した「セクシー」な取組みとは言い難いところがある。
■目次
1――はじめに
2――米国の現状
3――EVを認めるトランプ氏
4――フラッキングを認めるハリス副大統領
5――おわりに
(2024年09月26日「基礎研レター」)

03-3512-1789
- 【職歴】
1990年 日本生命保険相互会社に入社。
通算して10年間、米国3都市(ニューヨーク、アトランタ、ロサンゼルス)に駐在し、現地の民間医療保険に従事。
日本生命では法人営業が長く、官公庁、IT企業、リース会社、電力会社、総合型年金基金など幅広く担当。
2015年から2年間、公益財団法人国際金融情報センターにて欧州部長兼アフリカ部長。
資産運用会社における機関投資家向け商品提案、生命保険の銀行窓版推進の経験も持つ。
【加入団体等】
日本FP協会(CFP)
生命保険経営学会
一般社団法人 アフリカ協会
一般社団法人 ジャパン・リスク・フォーラム
2006年 保険毎日新聞社より「アメリカの民間医療保険」を出版
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