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気候変動:死亡率シナリオの試作-気候変動の経路に応じて将来の死亡率を予測してみると…
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
5――試算結果
1|高温、低温、降水、湿度の指数について観測実績とヒストリカルの推移は類似している
まず、気候指数の推移から見ていく。本稿では、関東甲信(父島と南鳥島を除いた23地点ベース)の気候指数を計算した。以下では、5年平均の各気候指数の推移をグラフ化している。
最初に気候指数ごとに、過去(1971-2023年)の期間について観測実績とヒストリカルデータによる指数を比較して表示する。ヒストリカルは2014年までのデータをもとに指数を作成したため、その年次までの表示となっている。両者の比較を通じて、MIROC6モデルの結果をもとに作成した気候指数が、実績とどの程度類似しているかを確認していく。
(1) 高温指数
高温指数は、上昇傾向にある。1971-2014年の状況を見ると、観測実績とヒストリカルは類似した動きをしていると言える。
2|高温指数で、SSP5-8.5は他の経路に比べて大きく上昇
次に、将来(2024-2100年)の期間における、経路ごとの気候指数の推移を見ていく。ここでは、経路ごとの将来データの違いが、どのように気候指数の形で反映されているかを確認していくことが主な目的となる。
なお、過去の観測実績との接続(2024年)の前後で、気候指数の上昇や低下などの傾向がどのように変化しているかを見るために、2011-2023年の観測実績もあわせて表示する。
(1) 高温指数
高温指数は、過去の観測実績が上昇傾向を示している。SSP1-1.9の経路では、高温指数は上下の振動を繰り返しながら、概ね横這いで推移している。SSP1-2.6の経路も当面は横這いで推移するが、2080年代半ばより上昇し、2090年頃には3に達することもある。ただし、その後は低下している。SSP2-4.5の経路では、高温指数は2060年代後半以降、10年程度での長さで上下動を繰り返し、2080年代に4を超えている。SSP5-8.5の経路では、高温指数は2090年代に8を超えている。
このように、高温指数は、経路ごとの違いが顕著と言える。なお、過去の観測実績との接続には、特に問題はないものとみられる。
(2024年08月15日「基礎研レポート」)
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保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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