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- 鉱工業生産24年6月-4-6月期は2四半期ぶりの増産だが、1-3月期の落ち込みを取り戻せず
2024年07月31日
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1.4-6月期は2四半期ぶりの増産
経済産業省が7月31日に公表した鉱工業指数によると、24年6月の鉱工業生産指数は前月比▲3.6%(5月:同3.6%)と2ヵ月ぶりに低下したが、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲5.0%、当社予想は同▲5.3%)を上回る結果となった。出荷指数は前月比▲4.3%と2ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比▲0.6%と2ヵ月ぶりの低下となった。
6月の生産を業種別に見ると、工場の稼働再開を受けて5月に前月比18.1%の高い伸びとなった自動車が新たな認証不正問題の発覚の影響で同▲8.9%と大きく落ち込んだほか、生産用機械(同▲8.7%)、汎用・業務用機械(同▲8.3%)、電子部品・デバイス(同▲5.8%)など、全ての業種が前月比でマイナスとなった。
24年4-6月期の生産は前期比2.9%と2四半期ぶりの増産となったが、1-3月期(同▲5.2%)の落ち込みを取り戻すには至らなかった。業種別には、不正問題の影響で1-3月期に前期比▲17.3%と急速に落ち込んだ自動車が、出荷停止の解除を受けた挽回生産で同11.7%の大幅増産となったほか、グローバルなITサイクルの好転を背景に電子部品・デバイスが前期比4.3%の高い伸びとなった。
6月の生産を業種別に見ると、工場の稼働再開を受けて5月に前月比18.1%の高い伸びとなった自動車が新たな認証不正問題の発覚の影響で同▲8.9%と大きく落ち込んだほか、生産用機械(同▲8.7%)、汎用・業務用機械(同▲8.3%)、電子部品・デバイス(同▲5.8%)など、全ての業種が前月比でマイナスとなった。
24年4-6月期の生産は前期比2.9%と2四半期ぶりの増産となったが、1-3月期(同▲5.2%)の落ち込みを取り戻すには至らなかった。業種別には、不正問題の影響で1-3月期に前期比▲17.3%と急速に落ち込んだ自動車が、出荷停止の解除を受けた挽回生産で同11.7%の大幅増産となったほか、グローバルなITサイクルの好転を背景に電子部品・デバイスが前期比4.3%の高い伸びとなった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は24年1-3月期の前期比▲2.0%の後、4-6月期は同0.5%と2四半期ぶりに上昇した。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は24年1-3月期の前期比▲6.2%の後、4-6月期は同1.8%と2四半期ぶりに上昇した。
24年1-3月期のGDP統計の設備投資は前期比▲0.4%と2四半期ぶりに減少したが、高水準の企業収益を背景に基調としては持ち直しており、4-6月期は増加に転じる可能性が高い。
24年1-3月期のGDP統計の設備投資は前期比▲0.4%と2四半期ぶりに減少したが、高水準の企業収益を背景に基調としては持ち直しており、4-6月期は増加に転じる可能性が高い。
2.7-9月期も増産となる見込み
製造工業生産予測指数は、24年7月が前月比6.5%、8月が同0.7%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(6月)、予測修正率(7月)はそれぞれ▲2.2%、0.5%であった。予測修正率がプラスとなるのは21年3月以来、3年4ヵ月ぶりで、先行きの生産を見る上で明るい材料といえる。
予測指数を業種別にみると、7月は生産用機械(前月比18.1%)、汎用・業務用機械(同10.3%)、電子部品・デバイス(同18.0%)、化学(同11.8%)が前月比二桁の大幅増産となる一方、新たな認証不正問題が発覚した自動車を含む輸送機械は7月が前月比▲0.2%、8月が同▲3.0%の減産計画となっている。ただし、一時、ダイハツの全車種の生産・出荷が停止した前回の不正問題とは異なり、今回の出荷停止は一部の車種に限られるため、鉱工業生産全体への影響は前回よりも小さくなる公算が大きい。
予測指数を業種別にみると、7月は生産用機械(前月比18.1%)、汎用・業務用機械(同10.3%)、電子部品・デバイス(同18.0%)、化学(同11.8%)が前月比二桁の大幅増産となる一方、新たな認証不正問題が発覚した自動車を含む輸送機械は7月が前月比▲0.2%、8月が同▲3.0%の減産計画となっている。ただし、一時、ダイハツの全車種の生産・出荷が停止した前回の不正問題とは異なり、今回の出荷停止は一部の車種に限られるため、鉱工業生産全体への影響は前回よりも小さくなる公算が大きい。
24年4-6月期の電子部品・デバイスの出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は30.2%(4-6月期:34.0%)と4四半期連続のプラスとなった。在庫が前年比▲29.3%(1-3月期:同▲33.6%)と大幅な減少が続く中、出荷が前年比0.8%(1-3月期:同0.5%)と2四半期連続で増加した。在庫調整の進展を受けて、電子部品・デバイスの生産は当面、堅調に推移することが見込まれる。
24年6月の生産指数を7、8月予測指数で先延ばしすると、24年7、8月の平均は4-6月期を5.5%上回る。実際の生産の伸びが計画を下回る傾向があることや自動車の下振れリスクに留意する必要があるが、電子部品・デバイスの在庫調整の進展、半導体関連需要に支えられた生産用機械の大幅増産計画などを踏まえれば、24年7-9月期は2四半期連続の増産となることが予想される。
24年6月の生産指数を7、8月予測指数で先延ばしすると、24年7、8月の平均は4-6月期を5.5%上回る。実際の生産の伸びが計画を下回る傾向があることや自動車の下振れリスクに留意する必要があるが、電子部品・デバイスの在庫調整の進展、半導体関連需要に支えられた生産用機械の大幅増産計画などを踏まえれば、24年7-9月期は2四半期連続の増産となることが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年07月31日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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