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- リベンジ消費はなぜ不発なのか-過剰貯蓄による押し上げ効果はすでに消滅
2024年07月08日
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■要旨
- 社会経済活動の正常化に伴い、個人消費は急回復することが期待されていたが、今のところ「リベンジ消費」は顕在化していない。
- 個人消費は、物価高の逆風を受けながらも、高水準の貯蓄を背景に比較的堅調だったが、足もとでは貯蓄率の引き下げ余地が少なくなり、物価高の悪影響をより受けやすくなっている。
- 家計貯蓄率は、緊急事態宣言発令に伴う消費の急激な落ち込みや特別定額給付金の支給によって2020年春に急上昇した。しかし、その後は消費の持ち直しや物価高の影響で低下傾向が続き、2023年入り後はコロナ禍前の水準を下回り、足もとでは小幅なマイナスとなっている。また、コロナ禍で積み上がった累積的な貯蓄により家計の現金・預金残高の増加ペースはコロナ禍前のトレンドを大きく上回っているが、消費者物価で割り引いた実質ベースでは、コロナ禍前のトレンドを下回っている。
- リベンジ消費の中でも特に期待が大きかった外食、宿泊などの対面型サービスは高齢者を中心に持ち直しのペースが鈍く、依然としてコロナ禍前の水準を大きく下回っている。
- 物価高の影響は所得(フロー)だけでなく、コロナ禍で積み上がった金融資産(ストック)の目減りにもつながり、リベンジ消費不発の原因となっている。過剰貯蓄による消費の押し上げ効果は今後も期待できない。名目賃金の伸びが物価上昇率を上回り、実質賃金の伸びがプラスに転じることが見込まれる2024年度後半まで、消費は腰折れリスクの高い状態が続くだろう。
■目次
●リベンジ消費はなぜ不発なのか-過剰貯蓄による押し上げ効果はすでに消滅
・下振れが続く個人消費
・家計貯蓄率はコロナ禍前の水準を下回る
・実質可処分所得の水準はコロナ禍前よりも低い
・積み上がった貯蓄は物価高で目減り
・対面型サービス消費の回復も期待外れ
・消費は腰折れリスクの高い状態が続く
※ 本稿は2024年1月12日発行「Weeklyエコノミスト・レター」を加筆・修正したものである。
●リベンジ消費はなぜ不発なのか-過剰貯蓄による押し上げ効果はすでに消滅
・下振れが続く個人消費
・家計貯蓄率はコロナ禍前の水準を下回る
・実質可処分所得の水準はコロナ禍前よりも低い
・積み上がった貯蓄は物価高で目減り
・対面型サービス消費の回復も期待外れ
・消費は腰折れリスクの高い状態が続く
※ 本稿は2024年1月12日発行「Weeklyエコノミスト・レター」を加筆・修正したものである。
(2024年07月08日「ニッセイ基礎研所報」)

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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