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新築マンション市場の動向(首都圏2024年3月)~高値続きで郊外の供給増、マンションの競争力に注意

金融研究部 准主任研究員 渡邊 布味子
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2024年3月の首都圏新築マンション平均価格は昨年3月の平均価格を一部の高額物件が引き上げていた反動で前年同月比で下落した。しかし10年前と比較すると供給戸数は半減する一方で、平均価格は約5割増しとなっている。また、価格帯別で見ると、9,000万円超1億円未満の価格帯を除いた他の価格帯では前年同月より売れ行きが鈍くなっている。
また、2024年2月の首都圏新築マンションの発売戸数は対前年同月比で大きく減少している。では、どこのエリアのどの価格帯の供給量が減少したのだろうか。エリア別・価格帯別では、東京23区・埼玉県の全ての価格帯の発売戸数が前年同期比で減少した。一方で、神奈川県・千葉県の全ての価格帯、東京都下の一部の価格帯で発売戸数が増加した。
需要者の観点からは、東京23区の発売戸数の減少は、可処分所得の停滞と物価高のなかで、相対的に高額なマンションが一部のサラリーマン世帯で予算外となったことを示している可能性がある。また、供給者(デベロッパー)の観点からは、販売価格が相対的に高い東京23区で無理にマンション建設を進めるようなことはせずに用地のまま保管しておき、相対的に土地値が安くて発売価格も安く設定できるその他のエリアでのマンション建設を優先していると見られる。
今後も引き続き、供給(発売戸数)は減り、価格は上がる傾向に変わりはないと考える。
ただし、直近の売れ行きはやや不安定である。また、エリア別では相対的に割高な東京23区と埼玉県の売れ行きが鈍る一方で、割安感のある東京都下、神奈川県、千葉県の売れ行きは良い。高水準の価格維持のために東京23区の供給量がさらに減るとすれば、中古マンションを含めたマンション市場では東京23区の価格がさらに価格が高まる可能性もある。
今マンションを持っていない人は、この高値で買うかどうか迷っているかもしれない。不動産を高値で購入した場合、次の買い手が見つけられることと、それまで不動産を持ち続けられることは重要である。つまり競争力が劣るエリアでの高値掴みや無理な資金計画による購入は避けるべきだ。少なくとも購入前に検討エリアの中古マンションの価格を調べたうえで、ライフプランに合わせた資金計画が立てられているかどうかを十分に確認すべきだろう。
■目次
1.2024年3月の首都圏新築マンションの価格と発売動向
2.特に9,000万円以下の価格帯の売行きが鈍い
3.郊外部のマンション供給が増加している
4.完成在庫は増えているが、価格下落の可能性は低い
5.高値は続く見通し、マンションの競争力維持に注意を
(2024年05月14日「不動産投資レポート」)

03-3512-1853
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
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