2024年04月30日

2024年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.4%(年率▲1.6%)を予測~

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■要旨
 
  1. 5/16に内閣府から公表される2024年1-3月期の実質GDPは、前期比▲0.4%(前期比年率▲1.6%)と2四半期ぶりのマイナス成長になったと推計される。
     
  2. 公的需要は増加したが、民間消費(前期比▲0.2%)、設備投資(同▲0.9%)、住宅投資(同▲1.8%)の国内民間需要がいずれも減少し、外需も成長率の押し下げ要因となった。自動車不正問題の悪影響は民間消費、設備投資、輸出と広範囲に及んだとみられる。
     
  3. 名目GDPは前期比0.2%(前期比年率0.7%)となり、実質の伸びを大きく上回るだろう。GDPデフレーターは前期比0.6%、前年比3.7%と予測する。2023年度の実質GDPは前年比1.3%、名目GDPは前年比5.4%といずれも3年連続のプラス成長となることが見込まれる。名目GDP成長率が5%台となれば、1991年度(5.3%)以来、32年ぶりとなる。
     
  4. 2023年度の実質GDPは3年連続のプラス成長となったが、年度内成長率(2023年1-3月期から2024年1-3月期までの伸び率)は▲0.3%のマイナスとなることが見込まれる。日本経済は2023年度を通して停滞が続いたと判断される。
     
  5. 2024年4-6月期は、2024年春闘の結果を受けて名目賃金の伸びが高まる中、所得・住民減税による可処分所得の押し上げ効果もあり、民間消費が5四半期ぶりに増加すること、高水準の企業収益を背景に設備投資が増加に転じることなどから、現時点では年率1%台後半のプラス成長を予想している。

 
実質GDP成長率の推移
■目次

●1-3月期は年率▲1.6%のマイナス成長を予測
●主な需要項目の動向
  ・民間消費~物価高に自動車大幅減産の悪影響が加わり、4四半期連続の減少~
  ・住宅投資~弱い動きが続く~
  ・民間設備投資~2四半期ぶりの減少~
  ・公的固定資本形成~3四半期ぶりの増加~
  ・外需~成長率を押し下げ~
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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