2024年04月22日

米インフレは下げ渋り-コアインフレは足元でインフレ加速の兆し。今後の動向は原油に加え、家賃や賃金が鍵

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
 
  1. 米国の消費者物価(CPI)は総合指数が24年3月に前年同月比+3.5%とコアインフレの高止まりに加え、エネルギー価格の上昇から2ヵ月連続の上昇。物価の基調を示すコア指数は+3.8%と2ヵ月連続で横ばいとなったものの、前月比や3ヵ月前比では伸びが加速しており、足元で物価上昇圧力が高まっている状況。
     
  2. 3月のCPIの内訳は食料品価格やコア財価格は安定しているものの、中東での地政学的リスクの高まりなどを背景にエネルギー価格が上昇し、コアサービス価格も高止まり。
     
  3. 今後、エネルギー価格は中東情勢次第で原油価格の急騰を背景に上昇リスクが燻る一方、食料品価格は穀物需給が幾分逼迫するものの、低下基調の持続が見込まれる。
     
  4. コア財価格は安定が続く一方、コアサービス価格の住居費が夏場にかけて低下するものの、その後は上昇に転じる可能性が見込まれる。また、住居費以外では労働需給の逼迫を背景に賃金上昇率の低下は緩やかに留まる見込み。
     
  5. 今後のCPIはエネルギー価格の上昇がインフレを再燃させるリスクがあるほか、家賃や賃金の高止まりからコアサービス価格は緩やかな低下に留まるとみられ、物価目標の達成は一筋縄では行かないだろう。

 
(図表1)消費者物価主要指数
■目次

1.はじめに
2.米国のCPI等の動向
  (3月CPIの振り返り)
    サービス価格を中心にコア指数は物価上昇圧力が燻っていることを示唆
  (エネルギー・食料品価格)
    エネルギー価格上昇リスクが燻る一方、食料品価格は低下継続へ
  (コア財価格)
    中古、新車販売価格の安定から当面ゼロ近辺での推移が継続
  (コアサービス(住居費))
    24年夏場にかけては低下もその後は反転する可能性
  (コアサービス(除く住居費))
    低下予想も、労働需給の逼迫長期化では高止まるリスク
  (期待インフレ率)
    足元で安定、専門家の長期見通しは概ね物価目標と整合的な水準
3.今後の見通し
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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