2024年04月17日

米住宅着工・許可件数(24年3月)-着工件数は23年8月以来の水準に低下、市場予想を大幅に下回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工、許可件数ともに市場予想を下回る

4月16日、米国センサス局は3月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は132.1万件(前月改定値:154.9万件)と152.1万件から上方修正された前月を下回り23年8月以来の水準に低下、市場予想の148.5万件(Bloomberg集計の中央値)も大幅に下回った(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は145.8万件(前月改定値:152.3万件)と151.8万件から小幅上方修正された前月、市場予想の151.0万件を下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:大幅に増加した前月の反動もあって戸建て、集合住宅の着工件数は大幅減少

住宅着工件数の伸びは前月比▲14.7%(前月:+12.7%)と2桁のプラスとなった前月の反動もあって2桁のマイナスに転じた(図表3)。戸建てが▲12.4%(前月:+14.6%)、集合住宅が▲21.7%(前月:+7.0%)といずれも前月から2桁のマイナスに転じた(図表4)。

前年同月比は▲4.3%(前月:+7.9%)と5ヵ月ぶりにマイナスに転じた。内訳をみると、戸建てが+21.2%(前月:+39.8%)と2桁のプラスを維持した一方、集合住宅が▲44.3%(前月:▲36.4%)と10年2月以来のマイナス幅となり全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、西部が+1.5%ポイント(前月:▲1.3%ポイント)と前月からプラスに転じた一方、南部が▲10.3%ポイント(前月:+9.8%ポイント)、中西部が▲3.0%ポイント(前月:+4.9%ポイント)と前月からマイナスに転じた。さらに、北東部が▲2.9%ポイント(前月:▲0.8%ポイント)と2ヵ月連続でマイナスとなった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲4.3%(前月:+2.3%)と前月からマイナスに転じた(図表5)。戸建てが▲5.7%(前月:+1.1%)と22年12月以来のマイナスに転じたほか、集合住宅も▲1.2%(前月:+4.9%)と前月からマイナスに転じた(図表6)。

前年同月比は+1.5%(前月:+2.8%)と5ヵ月連続のプラスとなった。集合住宅が▲20.2%(前月:▲28.4%)と13ヵ月連続で2桁のマイナスとなった一方、戸建てが+17.4%(前月:+29.6%)と7ヵ月連続で2桁のプラスを維持して全体を押し上げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で3月がそれぞれ▲17.5%(12月:+37.7%)、+1.1%(12月:+0.3%)と、着工件数は12月から大幅なマイナスに転じた一方、許可件数は小幅ながらプラス幅が拡大した(図表7)。

着工件数からは4月25日に発表される24年1-3月期の実質GDPにおける住宅投資(前期比年率)が前期の+2.8%からマイナスに転じる可能性が示唆される。もっとも、23年7-9月期の住宅投資が+6.7%とプラス成長となった一方、23年9月の住宅着工件数が▲20.1%となるなど、ここもと着工件数と住宅投資の連動が低下している。また、足元の経済指標からアトランタ連銀が推計するGDPナウは1-3月期の住宅投資を+12.0%と推計しており、前期から伸びが加速することが見込まれており、どのようなで数値が発表されるのか注目される。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2024年04月17日「経済・金融フラッシュ」)

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