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気候指数 2023年データへの更新-日本の気候の極端さは、1971年以降の最高水準を更新

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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![図表5-1. 指数推移 (5年平均) [東北]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2024/report240405-1-5_1-655x312.jpg?v=1712295847)
東北の合成指数は、2010年代以降0.5前後で推移してきたが、2023年秋季には0.60(前年秋季は0.47)に上昇した。なかでも、高温指数は2023年に2に迫る水準に急騰した。高温の日が増えたことを表している。また、湿度指数は2010年代以降上昇のペースが高まっており、湿潤化が進みつつあることがうかがえる。なお、海面水位指数は、東日本大震災に伴う観測中断期間前後での格差が大きい大船渡、鮎川、小名浜を除いたため、潮位の観測地点が3ヵ所となり変動が大きくなっている14。
[2023年の各月の動向]
![図表5-2. 指数推移 (2023年の各月の指数) [東北]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2024/report240405-1-5_2-655x323.jpg?v=1712295847)
高温指数は、3月、8月、9月に非常に高い水準となった。一方、海面水位指数は、3月、8月にマイナス。降水指数と湿度指数は、8月にマイナスとなった。その結果、4つの指数がいずれもプラスとなった9月に、合成指数が高い水準となった。
14 宮古にも東日本大震災に伴う観測中断期間があったが、その前後での格差が大きくはなかったため、海面水位指数の元データとして用いることとした。
![図表6-1. 指数推移 (5年平均) [関東甲信]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2024/report240405-1-6_1-655x318.jpg?v=1712296059)
関東甲信の合成指数は、上昇傾向にあり、2023年秋季には1.08(前年秋季は1.00)となっている15。特に、高温指数が上昇しており2023年には2に迫る水準となっている。海面水位指数も1.5を超えて高まっている16。また、湿度指数は2010年代以降に大きく上昇した。首都圏を含む人口集中地域で、気候変動の程度が徐々に高まっている様子がうかがえる。
[2023年の各月の動向]
![図表6-2. 指数推移 (2023年の各月の指数) [関東甲信]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2024/report240405-1-6_2-655x322.jpg?v=1712296059)
高温指数は、3月、8月、9月に非常に高い水準となった。一方、海面水位指数は、5月、7月、9月に上昇した。降水指数と湿度指数は、3月にプラスとなった。その結果、4つの指数がいずれもプラスとなった3月と、高温指数と海面水位指数が上昇した9月に、合成指数が高い水準となった。
15 バージョン2.00では、関東甲信の一部の観測地点で欠測値の取扱い等を変更した。そのため、バージョン1.00と比べて一部の指数が変化している。(例. 2022年秋季の合成指数につき、1.07 (v1.00) から1.00 (v2.00) に変化)
![図表7-1. 指数推移 (5年平均) [北陸]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2024/report240405-1-7_1-655x317.jpg?v=1712296338)
北陸の合成指数は、長らく0.5程度で推移してきたが、2020代以降やや上昇し、2023年秋季には0.84(前年秋季は0.73)に高まっている。なかでも、高温指数は2023年に急騰して2に迫る水準となっており、合成指数の上昇要因となっている。また、湿度指数は長らくマイナスで推移していたが、上昇して2020年代にはプラスとなっている。このことも、合成指数の上昇の要因となっている。なお海面水位指数は、1996年に観測が開始された佐渡と能登の影響により、同年前後で動きが大きい。
[2023年の各月の動向]
![図表7-2. 指数推移 (2023年の各月の指数) [北陸]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2024/report240405-1-7_2-655x321.jpg?v=1712296338)
高温指数は、3月、8月、9月に非常に高い水準となった。一方、海面水位指数は、6月と9月に高水準を付けた。その結果、高温指数と海面水位指数がともに寄与する形で、9月に合成指数が高い水準となった。なお、3月と4月に乾燥指数が上昇した点も要注目とみられる。
![図表8-1. 指数推移 (5年平均) [東海]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2024/report240405-1-8_1-655x317.jpg?v=1712296338)
東海の合成指数は、2000年代までゼロ近辺で推移してきたが、その後上昇して、2023年秋季には1.33(前年秋季は1.21)となっている。その背景として、海面水位指数と高温指数の上昇が挙げられる。海面水位は、石廊崎、清水港、御前崎といった駿河湾沿いの観測地点で継続的な上昇が見られる。高温指数は、2023年に2を超えており、なお上昇が続いている。人口の集中する中京圏で、気候変動の高まりが鮮明になりつつある。
[2023年の各月の動向]
![図表8-2. 指数推移 (2023年の各月の指数) [東海]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2024/report240405-1-8_2-655x329.jpg?v=1712296338)
![図表9-1. 指数推移 (5年平均) [近畿]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2024/report240405-1-9_1-655x318.jpg?v=1712296934)
近畿の合成指数は、上昇基調にあり、2023年秋季には1.31(前年秋季は1.21)となっている。特に、海面水位指数の上昇が大きい。舞鶴、大阪、神戸、洲本、串本、浦神といった日本海側、大阪湾沿岸、太平洋側の各観測地点で上昇している。また、高温指数は、2020年に1.5を超えて、2023年には急騰して2に迫る水準となっている。人口の集中する近畿圏で、気候変動の高まりが顕著となりつつある。
[2023年の各月の動向]
![図表9-2. 指数推移 (2023年の各月の指数) [近畿]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2024/report240405-1-9_2-655x325.jpg?v=1712296934)
高温指数は、3月、8月、9月に非常に高い水準となった。一方、海面水位指数は、1月、6月、9月に高水準を付けた。その結果、両者が寄与する形で、3月、6月、8月、9月に合成指数が高い水準となった。なお、3月と4月に乾燥指数が上昇した点も要注目とみられる。
(2024年04月05日「基礎研レポート」)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
篠原 拓也のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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