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- 首都圏中古マンション市場の動向(2024年2月)~マイナス金利解除は中古マンション価格に影響する?
2024年03月22日
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首都圏中古マンションの価格上昇、成約件数横ばいの傾向が続く
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、2024年2月の首都圏中古マンションの成約価格1は4,859万円(前年同月比+11.5%)、成約件数は3,350戸(前年同月比+3.4%)となった。
月次値は価格変動が激しいため、直近12ヶ月の移動平均で見ると、2024年2月の成約価格は4,666万円(前年同月比+0.9%)と緩やかな上昇が続いている。最近の新築マンションの価格高騰から、中古マンションの価格も上昇する傾向が続いている。一方、成約件数は2,975戸(前年同月比+1.0%)と増加したが2022年半ば以降の推移でみればほぼ横ばいであり(図表1)、新築マンションより割安だからといって、中古マンションの売れ行きが必ずしも良いわけではないようだ。日銀がマイナス金利解除を決め、17年ぶりの利上げに踏み切る姿勢を見せたが、このようなマクロ要因の影響は需要の弱まっているところから顕在化する可能性が高い。中古マンション市場に需要停滞の兆候は見られるのだろうか。
月次値は価格変動が激しいため、直近12ヶ月の移動平均で見ると、2024年2月の成約価格は4,666万円(前年同月比+0.9%)と緩やかな上昇が続いている。最近の新築マンションの価格高騰から、中古マンションの価格も上昇する傾向が続いている。一方、成約件数は2,975戸(前年同月比+1.0%)と増加したが2022年半ば以降の推移でみればほぼ横ばいであり(図表1)、新築マンションより割安だからといって、中古マンションの売れ行きが必ずしも良いわけではないようだ。日銀がマイナス金利解除を決め、17年ぶりの利上げに踏み切る姿勢を見せたが、このようなマクロ要因の影響は需要の弱まっているところから顕在化する可能性が高い。中古マンション市場に需要停滞の兆候は見られるのだろうか。
1 成約価格・件数は「当月に売買が成立した物件」の価格・件数、新規登録価格・件数は「当月に登録された物件」の価格・件数、在庫価格・件数は「当月末に在庫となっている物件」の価格・件数をいう。
「条件の良い物件」だけが売れる傾向は加速、在庫は増加傾向
2024年2月の首都圏中古マンションの価格は、成約価格が4,859万円で前年同月比+11.5%上昇しているのに対し、新規登録価格は4,243万円で前年同月比+0.9%上昇と、成約価格の上昇の10分の1以下に止まり、在庫価格については、4,127万円で前年同月比▲0.4%と、マイナスに転じた。成約価格と新規登録価格や在庫価格の乖離は拡大している。(図表2)。また、在庫価格については、販売期間(売れていない期間)の長期化から売り主が弱気になるなど、売値を引き下げている可能性がある。
つまり、以前2(2023年6月のレポート執筆時)よりもさらに、売り出し価格の水準が高い「築年が浅い」・「より都心に近く立地が良い」といった性質のマンションの売買が成立し、相対的に競争力がなく売り出し価格が安いマンションが売れ残る傾向が強くなっていると思われる。
実際、中古マンション在庫件数の増加が続いている。2024年2月の中古マンションの在庫件数は4万7,628戸(前年同月比+6.4%)と世界金融危機後の過去最高水準を更新した。また、中古マンション以外の在庫は、新築マンションは需要に合わせて供給量が調整されるため在庫戸数はほとんど増加していないが、新築分譲戸建ての在庫件数は1万8,531戸(前年同月比+26.0%)、中古戸建ての在庫件数は2万1,268戸(前年同月比+33.0%)と大幅に増加している(図表3)。
最近の動向として、住宅は全般的に売れにくくなっており、新築マンション市場で見られる実需層の需要減退3がその他の住宅市場でより強く生じている懸念がある。
つまり、以前2(2023年6月のレポート執筆時)よりもさらに、売り出し価格の水準が高い「築年が浅い」・「より都心に近く立地が良い」といった性質のマンションの売買が成立し、相対的に競争力がなく売り出し価格が安いマンションが売れ残る傾向が強くなっていると思われる。
実際、中古マンション在庫件数の増加が続いている。2024年2月の中古マンションの在庫件数は4万7,628戸(前年同月比+6.4%)と世界金融危機後の過去最高水準を更新した。また、中古マンション以外の在庫は、新築マンションは需要に合わせて供給量が調整されるため在庫戸数はほとんど増加していないが、新築分譲戸建ての在庫件数は1万8,531戸(前年同月比+26.0%)、中古戸建ての在庫件数は2万1,268戸(前年同月比+33.0%)と大幅に増加している(図表3)。
最近の動向として、住宅は全般的に売れにくくなっており、新築マンション市場で見られる実需層の需要減退3がその他の住宅市場でより強く生じている懸念がある。
成約率は首都圏中古マンション全体では前期と同様の傾向
(2024年03月22日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1853
経歴
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
渡邊 布味子のレポート
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