- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- マイナス金利解除後の円相場の行方は?~マーケット・カルテ4月号
2024年03月21日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大

植田日銀総裁は、追加利上げの条件として「基調的な物価上昇率の上昇」や「物価見通しの上振れ」を挙げていることから、今後、経済・物価に関する前向きな材料が出た際には、追加利上げ観測による円高圧力の発生が想定される。しかし、現時点では物価上昇がどんどん加速していくとは見込まれず、利上げを急ぐ必要はない。また、さらなる利上げは、既存の住宅ローン債務者の負担増大に繋がりかねないことなどから、日銀は見極めに慎重を期すだろう。数カ月内に追加利上げに至る可能性は低いと見ている。
一方、FRBは当面利下げ開始に慎重な姿勢を維持するとみられ、ドル円は堅調な展開が予想される。ただし、5月には、FRBの利下げ開始が視野に入ってくることでドル安圧力が高まると見ている。3カ月後の水準は145円前後と見込んでいる。
長期金利は月初0.7%台前半でスタートした後、日銀の正常化観測を受けてやや上昇したが、株高に伴う機関投資家のリバランス買い観測もあり、0.7%台で推移。日銀会合後も「当面の緩和的な金融環境の維持」が示唆されたことを受けて上昇せず、足元は0.7%台半ばにある。YCCが撤廃されたことで、今後は金利の上昇余地を探る動きが出やすくなるものの、日銀は当面、緩和的な金融環境の継続姿勢や国債買入れ額を維持するとみられ、金利上昇余地は限られるだろう。3ヵ月後の水準は0.8%台と予想している(ユーロ円に関する記述は割愛)。
(執筆時点:2024/3/21)
(2024年03月21日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/10/14 | 貸出・マネタリー統計(25年9月)~銀行貸出の伸びが4年半ぶりの4%台に、定期預金等はバブル期以来の高い伸びを記録 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/10/06 | 円安が続く背景を改めて点検する~円相場の行方は? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/10/01 | 日銀短観(9月調査)~トランプ関税の影響は依然限定的、利上げ路線をサポートするも、決め手にはならず | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/09/22 | 揺れるドル円、日米金融政策と政治リスクの狭間で~マーケット・カルテ10月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年10月17日
EUの金融システムのリスクと脆弱性(2025秋)-欧州の3つの金融監督当局の合同委員会報告書 -
2025年10月17日
日本における「老衰死」増加の背景 -
2025年10月17日
選択と責任──消費社会の二重構造(1)-欲望について考える(2) -
2025年10月17日
首都圏の中古マンション価格~隣接する行政区単位での価格差は?~ -
2025年10月17日
「SDGs疲れ」のその先へ-2015年9月国連採択から10年、2030年に向け問われる「実装力」
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【マイナス金利解除後の円相場の行方は?~マーケット・カルテ4月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
マイナス金利解除後の円相場の行方は?~マーケット・カルテ4月号のレポート Topへ