2024年02月19日

米住宅着工・許可件数(24年1月)-着工件数は前月、市場予想を大幅に下回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工、許可件数ともに市場予想を下回る

2月16日、米国センサス局は1月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は133.1万件(前月改定値:156.2万件)と146.0万件から上方修正された前月を下回ったほか、市場予想の146.0万件(Bloomberg集計の中央値)を大幅に下回った(図表1、図表3)。

着工許可件数(季節調整済、年率)は147.0万件(前月改定値:149.3万件)と149.5万件から小幅下方修正された前月、市場予想の151.2万件を下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:着工件数は戸建て、集合住宅ともに減少、許可件数の戸建ては堅調維持

住宅着工件数の伸びは前月比▲14.8%(前月:+3.3%)と20年4月以来の減少幅となった(図表3)。戸建てが▲4.7%(前月:▲6.4%)と2ヵ月連続のマイナスとなったほか、集合住宅が▲35.6%(前月:+31.1%)と前月が大幅なプラスとなった反動もあって、23年7月以来の大幅なマイナスに転じて全体を押し下げた(図表4)。

前年同月比は▲0.7%(前月:+15.1%)と3ヵ月ぶりのマイナスとなった。内訳をみると、戸建てが+22.0%(前月:+18.8%)と7ヵ月連続でプラスを維持した一方、集合住宅が▲36.8%(前月:+8.1%)とマイナスに転じて全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、中西部が▲3.9%ポイント(前月:▲0.1%ポイント)と3ヵ月連続でマイナスとなったほか、北東部が▲1.7%ポイント(前月:+0.1%ポイント)、南部が▲5.2%ポイント(前月:+0.9%ポイント)、西部が▲4.0%ポイント(前月:+2.3%ポイント)とそれぞれ前月からマイナスに転じた。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲1.5%(前月:+1.8%)と前月からマイナスに転じた(図表5)。戸建てが+1.6%(前月:+2.3%)と12ヵ月連続のプラスと回復が持続した一方、集合住宅が▲7.9%(前月:+0.8%)と前月からマイナスに転じて全体を押し下げた(図表6)。

前年同月比は+8.6%(前月:+6.0%)と3ヵ月連続のプラスとなった。集合住宅が▲24.9%(前月:▲25.3%)と11ヵ月連続で2桁のマイナスとなった一方、戸建てが+35.7%(前月:+33.6%)と7ヵ月連続でプラスとなったほか、前月から伸びが加速して全体を押し上げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、2月が48(前月:44)と3ヵ月連続で改善したほか、市場予想(46)も上回った(図表7)。

内訳は販売現況が52(前月:48)、販売見込みが60(前月:57)、客足が33(前月:29)とそれぞれ前月から改善した。

NAHB会長のアリシア・ヒューイ氏は「金利の僅かな低下でも、住宅購入希望者の間で不釣り合いな肯定的な反応がみられるため、客足は改善している」としたほか「多くの購入希望者にとって、住宅ローン金利が今年も低下し続ければ繰り延べ需要により、さらに多くの購入者が市場に参入すると予想される」と述べた。足元は住宅着工件数が大幅に減少する一方、建設業者のセンチメントの改善が続くなど、不整合な動きとなっている。ヒューイ氏の発言にみられるように、住宅ローン金利の低下が鮮明になれば、住宅需要の高まりから、今後住宅着工件数は増加に転じよう。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2024年02月19日「経済・金融フラッシュ」)

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