2024年02月02日

ユーロ圏失業率(2023年12月)-失業率は最低値の6.4%を維持

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.4%を維持

2月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2023年12月、季節調整値)】
失業率は6.4%、市場予想1(6.4%)と一致、前月(6.4%)から横ばいだった(図表1)
失業者は1090.9万人となり、前月(1092.6万人)から1.7万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:失業率は最低値での推移、若年失業率もさらに低下

ユーロ圏(20か国)の12月の失業率は6.4%で、統計データ公表以来の最低値を記録した11月(6.4%)から横ばいで推移した。また、過去データの改定もほとんどなかった。

失業者数は12月の前月差で1.7万人減となり、3か月連続で減少したことになる(図表3・4)。主要4か国では、ドイツ(+0.5万人)、フランス(+1.1万人)が増加、イタリア(▲5.1万人)、スペイン(▲1.7万人)は減少した。

12月の若年失業率は14.4%で、11月(14.5%)から減少した。また、若年失業率についても過去データはほとんど改定されなかった。若年失業率は4月(13.8%)をボトムに傾向としては上昇傾向であるが、直近のピークは10月の14.8%であり、11月、12月と2か月連続で改善、上昇ペースはかなり緩やかになっている(図表2)。

若年失業者数は12月で232.5万人(前月差1.3万人)となり、11月は前月比で減少したが、12月は再び増加に転じている。ただし、コロナショック直前の水準(20年3月の234.6万人)は依然としてやや下回っている(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の12月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が5か国、改善が6か国、横ばいが9か国だった(図表5)。また、若年失業率はデータが20か国中、悪化した国が4か国、改善が10か国、横ばいが6か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少し、就業者と非労働力人口が増加した(図表7)。一方、ポルトガルは失業者と非労働力人口がいずれも微減、就業者が微増という形だった(図表8)。いずれの国も労働参加率はコロナ禍後のピーク付近の高い水準を維持している。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2024年02月02日「経済・金融フラッシュ」)

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