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日本の母子保健 低出生低体重児(2)-出生体重2,500g未満の低出生体重児は、男児よりも女児、単産よりも複産、母親の年齢45歳以上で高い割合-

生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛
最後に、母親の年齢別の低出生体重児の占める割合を図表3へ示した。2019年における母親の年齢別低出生体重児総数では、30-34歳において28,512人と最も多く、次いで35-39歳の20,734人、続いて25-29歳の18,967人であった。一方で、出生体重2,500g未満の低出生体重児が占める割合を母親の年齢別にみると、45歳以上の18.0%が最も高く、次いで40-44歳の11.7%、続いて19歳以下の10.6%と、高年齢及び若年出産において低出生体重児の割合が高くなっている特徴が見て取れる。
いくつかの研究4,5においても、母体年齢が35歳以上や40歳以上の初産婦である場合に、低出生体重児の割合が有意に高くなるという報告があり、本稿のデータの特徴とも合致する。母体の年齢が高齢になるほど、妊娠糖尿病や高血圧のリスクが上昇することで、胎盤機能低下や胎児への栄養供給不足等になることが指摘されており、また、高齢であるほど正期産である妊娠週数37週未満での早産のリスクが高まることから、胎児の体重が十分に増加しないうちに出生を迎えることも低出生体重児の割合増加に影響していることが推察される。低出生体重の一要因として、母体の妊娠・出産年齢が関与することは重要な視点である。
4 国立保健医療科学院(1995)「妊婦年齢の早産及び低出生体重児」
5 内藤美智子ら(2019)「妊婦要因と低出生体重児,流産・死産児の関連性」日本公衆衛生雑誌第66巻第8号,p397-406.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/66/8/66_18-085/_pdf
3――まとめ
その結果、男児よりも女児の方が出生体重が低く、低出生体重児が占める割合も女児の方が2.3%ptも高いこと、単産よりも複産の方が出生体重が低く、複産の出生のうち71.4%が低出生体重が占めていることが明らかとなったが、いずれも、性差による体格の差や多胎による胎盤領域の差による影響があるものと推察された。
しかし、母親の年齢別に占める低出生体重児の割合をみると、45歳以上の母親で18.0%と最も高く、先行研究でも35歳以上や40歳以上の初産婦において低出生体重児の割合が有意に高くなる傾向を示すことが明らかとなった。母体の年齢が高齢になるほど、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など妊娠合併症のリスクが高まり、胎児の体重が十分に増加しないうちに出生を迎える早産のリスクも高まることなどから、低出生体重児の割合に影響を与えることが推察された。
近年の晩婚化晩産化傾向をみると、今後も高齢妊娠・高齢出産が増加することが予想される。低出生体重のリスクを見越した母体管理の重要性がより一層重要視されるべきであろう。
(2024年02月01日「基礎研レター」)
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03-3512-1847
- 【職歴】
2012年 東大阪市 入庁(保健師)
2018年 大阪市立大学大学院 看護学研究科 公衆衛生看護学専攻 前期博士課程修了
(看護学修士)
2019年 ニッセイ基礎研究所 入社
2019年~大阪市立大学大学院 看護学研究科 研究員(現:大阪公立大学 研究員)
【資格】
看護師・保健師・養護教諭一種・第一種衛生管理者
【加入団体等】
日本公衆衛生学会・日本公衆衛生看護学会・日本疫学会
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