- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 社会保障制度 >
- 医療保険制度 >
- 日本の不妊治療動向2020-2020年の不妊治療件数は約45万件で、40歳が実施件数・流産数ともにトップ、流産率は36歳で20%超え一気に上昇-
日本の不妊治療動向2020-2020年の不妊治療件数は約45万件で、40歳が実施件数・流産数ともにトップ、流産率は36歳で20%超え一気に上昇-

生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
本稿では、日本産科婦人科学会が公表する2020年(最新版)ARTデータを用いて日本の不妊治療の特徴を整理した。
その結果、2020年の不妊治療実績件数(年別治療周期総数 )は、449,900件(前年差:-8,201件)であり、治療法別では着床率の高さから凍結融解胚(卵)が215,285件(前年差:+82件)と微増しており、不妊治療実績件数(治療周期数)のピークは40歳における36,049件であり、流産数も40歳をピークに1,896件と、治療ニーズと妊孕性の限界が鬩ぎ合う(せめぎあう)実態が浮き彫りとなった。
また、2020年の不妊治療の妊娠率・流産率・生産率(全凍結周期を除外)を見たところ、24歳から33歳頃まで妊娠率は40%前後で推移したのち下降、生産率も30%前後で推移したのち下降、流産率は36歳で 20%を超過し、一気に上昇曲線を描いている。 生産率は44歳で医学的臨界点となる5%を切ることも明らかとなった。
2020年時点において特定不妊治療助成の適用要件から所得制限が撤廃され、治療に踏み込みやすくなった一方で、妊孕性の限界が迫る43歳以上の治療者が全体の16.8%を占める実態は、不妊治療ニーズと制度の在り方に議論が必要となろう。尚、日本産科婦人科学会では、毎年ARTデータを公表しており、引き続き、そのデータを用いて日本生殖補助医療の特徴を解析する予定である。
■目次
1――はじめに
2――2020年(最新版)不妊治療の特徴
1|不妊治療実績件数(年別治療周期総数の推移)
2|2020年 年齢別の治療実績件数(治療周期総数)
3|2020年 年齢別の治療実績件数(妊娠周期数・流産数・生産周期数)
4|2020年 年齢別の不妊治療実績(妊娠率・生産率・流産率)
3――まとめ
(2023年07月18日「基礎研レター」)

03-3512-1847
- 【職歴】
2012年 東大阪市入庁(保健師)
2018年 大阪市立大学大学院 看護学研究科 公衆衛生看護学専攻 前期博士課程修了(看護学修士)
2019年 ニッセイ基礎研究所 入社
・大阪市立大学(現:大阪公立大学)研究員(2019年~)
・東京医科歯科大学(現:東京科学大学)非常勤講師(2023年~)
・文京区子ども子育て会議委員(2024年~)
【資格】
看護師・保健師・養護教諭一種・第一種衛生管理者
【加入団体等】
日本公衆衛生学会・日本公衆衛生看護学会・日本疫学会
乾 愛のレポート
新着記事
-
2025年03月19日
日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 -
2025年03月19日
孤独・孤立対策の推進で必要な手立ては?-自治体は既存の資源や仕組みの活用を、多様な場づくりに向けて民間の役割も重要に -
2025年03月19日
マンションと大規模修繕(6)-中古マンション購入時には修繕・管理情報の確認・理解が大切に -
2025年03月19日
貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に -
2025年03月19日
米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【日本の不妊治療動向2020-2020年の不妊治療件数は約45万件で、40歳が実施件数・流産数ともにトップ、流産率は36歳で20%超え一気に上昇-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
日本の不妊治療動向2020-2020年の不妊治療件数は約45万件で、40歳が実施件数・流産数ともにトップ、流産率は36歳で20%超え一気に上昇-のレポート Topへ