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日本の不妊治療の現状とは?-ここ数年特定不妊治療実績数はほぼ横ばい、従来の助成事業では34歳から妊娠率が低下、37歳から流産率が上昇-
生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛
本稿では、2022年4月から開始される不妊治療の保険適用に伴い、現行の特定不妊治療助成事業の変遷をたどり、不妊治療の実績件数の推移や制度の影響、年齢別の治療成績の特徴を明らかにし、日本における不妊治療の現状を整理した。
従来の特定不妊治療助成事業では、所得制限の引き上げや助成回数や助成額の引き上げを経て、2022年4月からの保険適応の伴い原則廃止となる。しかし、今まで助成事業の対象とされてこなかった一般不妊治療が保険適用の対象とされたことで、より一層不妊治療に踏み込みやすくなった制度改革であるといえる。
また、妊孕性の問題から年齢制限が課せられた制度改革後の特定不妊治療実績件数が頭打ちにあったことから、制度の影響の大きさを物語っており、今回の保険適応でさらに広く一般層が不妊治療に踏み込めるであろうことに期待がかかる。
しかし、特定不妊治療の年齢別妊娠率・生産率・流産率をみると、34歳で妊娠率が降下し、37歳で流産率が上昇することが明らかとなり、保険適用年齢の上限に限らず早期からの治療が重要であることが示唆された。
■目次
1――はじめに
2――保険適用に至るまでの制度の変遷
3――不妊治療実績件数の推移と制度の影響
4――年齢別の妊娠率・生産率・流産率
5――まとめ
(2022年03月01日「基礎研レター」)
03-3512-1847
- 【職歴】
2012年 東大阪市 入庁(保健師)
2018年 大阪市立大学大学院 看護学研究科 公衆衛生看護学専攻 前期博士課程修了
(看護学修士)
2019年 ニッセイ基礎研究所 入社
2019年~大阪市立大学大学院 看護学研究科 研究員(現:大阪公立大学 研究員)
【資格】
看護師・保健師・養護教諭一種・第一種衛生管理者
【加入団体等】
日本公衆衛生学会・日本公衆衛生看護学会・日本疫学会
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