2024年01月10日

ユーロ圏失業率(2023年11月)-失業率は6.4%に低下

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.4%に低下

1月10日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2023年11月、季節調整値)】
失業率は6.4%、市場予想1(6.5%)より下振れ、前月(6.5%)から低下した(図表1)
失業者は1097.0万人となり、前月(1106.9万人)から9.9万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率も低下

ユーロ圏(20か国)の11月の失業率は6.4%で、10月からやや低下した。過去データはほとんど改定されず、統計データ公表以来の最低値を記録した(11月のほか6月も6.4%で最低値)。

失業者数は11月の前月差で9.9万人減となり、9・10月は2か月連続で計5.3万人増となったが、11月は減少に転じ、減少幅も大きかった(図表3・4)。主要4か国では、ドイツ(+0.5万人)、フランス(+0.1万人)が小幅増加し、フランス(+0.8万人)、イタリア(▲6.6万人)、スペイン(▲1.6万人)は減少した。

11月の若年失業率は14.5%で、10月(14.8%)から減少した。また、過去データはわずかに改善方向に改定されている(10月改定前14.9%→改定後14.8%)。若年失業率は4月(13.9%)をボトムに上昇傾向が継続している形になっているが、10月の下方修正と11月の改善により、上昇ペースはかなり緩やかになっている(図表2)。

若年失業者数は11月で232.1万人(前月差▲5.4万人)となり、10月まで4か月連続で増加していたが、11月は減少に転じた。その結果、11月はコロナショック直前の水準(20年3月の234.6万人)を再び下回った(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の11月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が5か国、改善が6か国、横ばいが9か国だった(図表5)。また、若年失業率はデータが公表されている16か国中、悪化した国が6か国、改善が8か国、横ばいが2か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少し、就業者と非労働力人口が増加した(図表7)。一方、ポルトガルは失業者と非労働力人口が減少し、就業者が増加した(図表8)。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2024年01月10日「経済・金融フラッシュ」)

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