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2025年05月07日
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1.結果の概要:総合指数は横ばい、コア指数は上昇
5月2日、欧州委員会統計局(Eurostat)は4月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は2.2%、市場予想1(2.1%)より上振れ、前月(2.2%)と同じだった(図表1)
・前月比は0.6%、予想(0.5%)より上振れ、前月(0.6%)と同じだった
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は2.7%、予想(2.5%)より上振れ、前月(2.4%)から上昇した(図表2)
・前月比は1.0%、前月(1.0%)と同じだった
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:サービスインフレ上昇がコア指数を押し上げ、ただし基調的な動きは掴みにくい
4月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で2.2%となり、3月(2.2%)と同じだった。一方、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は2.7%と3月(2.4%)から上昇した。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が2月0.6%→3月0.6%→4月0.6%と横ばい推移が続いている。「サービス」(エネルギーを除く)は2月3.7%→3月3.5%→4月3.9%となり、低下傾向にあったが4月は反発した。ただし、イースターの時期(24年は3月、25年は4月)が影響している可能性があり、基調的な動きが掴みにくくなっている点には留意が必要だろう。前年同月比寄与度は、「財」が0.14%ポイント程度、「サービス」が1.70%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で2月0.2%→3月▲1.0%→4月▲3.5%とマイナス幅を拡大させている。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.41%ポイント程度(2月は▲0.10%ポイント)と見られる(前掲図表2)。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が2月0.6%→3月0.6%→4月0.6%と横ばい推移が続いている。「サービス」(エネルギーを除く)は2月3.7%→3月3.5%→4月3.9%となり、低下傾向にあったが4月は反発した。ただし、イースターの時期(24年は3月、25年は4月)が影響している可能性があり、基調的な動きが掴みにくくなっている点には留意が必要だろう。前年同月比寄与度は、「財」が0.14%ポイント程度、「サービス」が1.70%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で2月0.2%→3月▲1.0%→4月▲3.5%とマイナス幅を拡大させている。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.41%ポイント程度(2月は▲0.10%ポイント)と見られる(前掲図表2)。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で3.0%(3月2.9%)と上昇(図表3)、内訳を見ると、飲食料のうち加工食品の伸び率は2.5%(3月2.6%)にやや減速したが、未加工食品が4.9%(3月4.2%)と加速した。飲食料の前年同月比寄与度は0.64%ポイント程度(3月は0.57%ポイント)と見られる。
4月はエネルギーが低下したが、サービスと食料がインフレ率を押し上げる形となった。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.5%(3月3.2%)、コアが2.8%(3月2.4%)、エネルギーを除く財が0.6%(3月0.7%)、サービスが4.1%(3月3.3%)、飲食料が2.5%(3月2.0%)となった。4月は財以外の物価上昇の勢いが2%を超えている状況にある。
4月はエネルギーが低下したが、サービスと食料がインフレ率を押し上げる形となった。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.5%(3月3.2%)、コアが2.8%(3月2.4%)、エネルギーを除く財が0.6%(3月0.7%)、サービスが4.1%(3月3.3%)、飲食料が2.5%(3月2.0%)となった。4月は財以外の物価上昇の勢いが2%を超えている状況にある。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは11か国、残りの9か国は低下した(図表5)。また、物価目標の2%を下回ったのは4か国だった。なお、前月比では20か国中19か国がプラス、1か国がマイナスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(2025年05月07日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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