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- インド消費者物価(23年11月)~11月のCPI上昇率は野菜価格が再び上昇して2カ月ぶりの5%台に
2023年12月14日
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インド統計・計画実施省が12月12日に公表した消費者物価指数によると、23年11月の消費者物価(以下、CPI)は前年同月比5.6%となり、10月の同4.9%から上昇した(図表1)。事前の市場予想1(同5.8%)を小幅に下回る結果であった。
地域別の上昇率をみると、都市部は前年同月比5.3%(前月:同4.6%)、農村部は同5.8%(前月:同5.1%)となり、それぞれ上昇した。
11月のCPIの内訳をみると、燃料・電力の下落が続いたものの、食品価格が再び上昇してCPIを押し上げた。
まず食品は前年同月比8.7%となり、前月の同6.6%から上昇して3カ月ぶりの高水準となった(図表2)。食品のうち、野菜(同17.7%)と果物(同11.0%)の価格が二桁増となった。野菜価格は7-8月に急上昇した後、9-10月に落ち着きを取り戻したが、11月に再び高騰した。特にタマネギが前月比47.8%、トマトが前月比40.9%と上昇幅が大きかった。また豆類(前年同月比20.2%)や穀物製品(同10.3%)、香辛料(同21.5%)の価格が高止まりした一方、食用油(同▲15.0%)の価格下落が続いた。牛乳・乳製品(同5.7%)と加工食品(同4.2%)は比較的落ち着いた値動きとなった。
燃料・電力は前年同月比▲0.8%となり、10月の同▲0.4%から減少幅が拡大した。
コアCPI(食品、燃料を除く総合)は前年同月比4.1%となり、10月の同4.3%から低下した。輸送・通信(同2.1%)こそ小幅に上昇したものの、保健(同5.5%)や教育(同5.0%)、衣服・靴(同4.0%)、住宅(同3.6%)など幅広い品目が10月の水準を下回った。
地域別の上昇率をみると、都市部は前年同月比5.3%(前月:同4.6%)、農村部は同5.8%(前月:同5.1%)となり、それぞれ上昇した。
11月のCPIの内訳をみると、燃料・電力の下落が続いたものの、食品価格が再び上昇してCPIを押し上げた。
まず食品は前年同月比8.7%となり、前月の同6.6%から上昇して3カ月ぶりの高水準となった(図表2)。食品のうち、野菜(同17.7%)と果物(同11.0%)の価格が二桁増となった。野菜価格は7-8月に急上昇した後、9-10月に落ち着きを取り戻したが、11月に再び高騰した。特にタマネギが前月比47.8%、トマトが前月比40.9%と上昇幅が大きかった。また豆類(前年同月比20.2%)や穀物製品(同10.3%)、香辛料(同21.5%)の価格が高止まりした一方、食用油(同▲15.0%)の価格下落が続いた。牛乳・乳製品(同5.7%)と加工食品(同4.2%)は比較的落ち着いた値動きとなった。
燃料・電力は前年同月比▲0.8%となり、10月の同▲0.4%から減少幅が拡大した。
コアCPI(食品、燃料を除く総合)は前年同月比4.1%となり、10月の同4.3%から低下した。輸送・通信(同2.1%)こそ小幅に上昇したものの、保健(同5.5%)や教育(同5.0%)、衣服・靴(同4.0%)、住宅(同3.6%)など幅広い品目が10月の水準を下回った。
インド準備銀行(RBI)が隔月で公表する家計のインフレ期待調査によると、23年11月の家計のインフレ期待2(中央値)は3ヵ月先と1 年先がそれぞれ9.1%(9月から横ばい)、10.1%(9月から0.2%ポイント上昇)となり若干上昇した(図表3)。9月は1年先の家計のインフレ期待が新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来の1桁台に低下したが、11月は再び二桁台に戻る結果となった。過去とほぼ同様に期待インフレ率と実際のインフレ率は乖離したままとなっており、乖離幅は4%台で過去3年平均と概ね同水準にある。
インフレ率は総じて低下傾向にあるが、底堅い国内需要を背景に下げ止まりつつあり、またCPI全体の約半分を占める食品・飲料に左右されて上下に振れる展開となっている。食品インフレはラビ作の播種が昨年より遅れていることや高騰した野菜価格の供給回復など先行きは不透明感が漂う。先行きのインフレ率は食品価格に左右されながら概ね5%台の水準で推移するものと予想される。
政府はタマネギ価格を抑制するため、10月末に年内までタマネギに最低輸出価格を設定して価格の安定化を図ろうとしたが、値上がりが解消しなかったため、12月7日に年度末まで禁輸すると発表した。来年4-5月には総選挙を予定しており、政府は食品価格の安定に向けて輸出抑制策を次々と講じている。
11月のCPI上昇率はインド準備銀行(RBI)の目標レンジである2─6%の上限に近づき、中央値(4%)との乖離幅が拡大した(図表4)。RBIは引き続きインフレ動向に注意を払いながら、金融政策を据え置くだろう。来年後半にはインフレの緩和が鮮明になるなか、調整的な利下げに動くものと予想される。
インフレ率は総じて低下傾向にあるが、底堅い国内需要を背景に下げ止まりつつあり、またCPI全体の約半分を占める食品・飲料に左右されて上下に振れる展開となっている。食品インフレはラビ作の播種が昨年より遅れていることや高騰した野菜価格の供給回復など先行きは不透明感が漂う。先行きのインフレ率は食品価格に左右されながら概ね5%台の水準で推移するものと予想される。
政府はタマネギ価格を抑制するため、10月末に年内までタマネギに最低輸出価格を設定して価格の安定化を図ろうとしたが、値上がりが解消しなかったため、12月7日に年度末まで禁輸すると発表した。来年4-5月には総選挙を予定しており、政府は食品価格の安定に向けて輸出抑制策を次々と講じている。
11月のCPI上昇率はインド準備銀行(RBI)の目標レンジである2─6%の上限に近づき、中央値(4%)との乖離幅が拡大した(図表4)。RBIは引き続きインフレ動向に注意を払いながら、金融政策を据え置くだろう。来年後半にはインフレの緩和が鮮明になるなか、調整的な利下げに動くものと予想される。
1 Bloomberg集計の中央値。
2 実際のインフレ率よりも高めになる傾向がある。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年12月14日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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