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- 公共投資が大幅増、内需主導の底堅い成長続く
2023年08月03日
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1-3月期の景気回復は総固定資本形成の拡大と純輸出の改善による影響が大きい。まず総固定資本形成(同+8.9%)は好調だった。インド政府が景気回復を優先して2022年度国家予算の資本支出を前年度比+35.4%増の7.5兆ルピー(約12.6兆円)に拡充したため、公共投資が大幅に伸びた。また純輸出は財・サービス輸出(同+11.9%)と二桁成長を維持した。海外経済の減速により財輸出は鈍化しつつあるが、ITサービスや外国人観光客数の増加などサービス輸出の好調が牽引したとみられる。一方、民間消費(同+2.8%)は伸び悩んだ。対面型サービス業の回復により雇用環境は改善傾向にあるが、高インフレと積極的な利上げが消費を冷え込ませている。


今後のリスクはインフレの再加速だ。当面インフレ率は商品市況の価格下落によりコストプッシュ型のインフレ圧力が緩和されることや金融引き締め策の影響により低下傾向が続くだろう。その後は内需の底堅い成長を背景にインフレ目標の中央値である4%を上回る水準で推移すると予想するが、インフレが上振れるリスクもある。今年は南西モンスーンの進行が平年より1週間前後遅れており、農作物の播種に混乱が生じている。6~9月のカリフ作(雨季作)の降雨量が減少して雨不足となれば、農作物の収穫量が伸び悩み、農村部の消費需要が減退すると共に食品価格が上昇する恐れがある。インドでは消費者物価指数に占める「食品」の構成比率が全体の4割を占めるだけに、食品インフレのリスクを軽視することはできない。また2023年後半は、新興国のなかではインフレ鈍化や米国の利上げ停止を受けて金融緩和に政策転換する国が出てくるだろうが、インドは食料インフレのリスクがくすぶるため金融政策を据え置くだろう。しかし、来年は米国の利下げ観測が高まるなか、インドも景気浮揚を目的に利下げを実施するものとみられる。
(2023年08月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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