2023年08月03日

外から見て日本が魅力的な国である必要

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4月下旬に最新版の日本の将来推計人口が発表された。すぐに総人口の減少や、出生率の低下、高齢者比率の更なる上昇などについて報道されているが、長らく有効な少子化対策を打ち出せていない以上、当然の帰結であろう。少子化対策の効果が発現するためには、言うまでもなく数十年の時間を要し、即効性はない。
 
人口の将来推計は、将来を当てに行く見込みではなく、現状を投影したプロジェクションと説明されるが、今回は重大な前提を含んでいる。年間の外国人流入超を前回より9.4万人多い16.3万人と、新型コロナの影響を受ける前3年間の値を基に設定している。
 
コロナの影響を外すのは適切であるが、人口推計に算入される外国人数はインバウンドの観光客数ではない。90日以上滞在する人々であり、多くが労働者である。当然、若年層や高齢者層は少なく、結果的に生産年齢人口の維持に貢献する想定になっている。
 
コロナ前の為替が1ドル=110円前後であったことを考えると、現状は大幅な円安であり、当面、円安基調は続くだろう。それでも日本に来て働こうという外国人は、多いのだろうか。日本に労働先としての魅力がなければ、外国人流入数は増えず、今回の推計より厳しい結果となって、年金財政は圧迫されてしまう。
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(2023年08月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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