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- 投資部門別売買動向(23年11月)~日経平均株価は5カ月ぶりに上昇~
コラム
2023年12月12日
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日経平均株価は、11月上旬から中旬にかけて米金融引締め観測の後退による米国株の上昇や、堅調な国内の企業決算を好感し大きく上昇した。3日夜発表の米雇用統計を受けて、6日には3万2,708円まで上昇した。さらに14日夜発表の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで米国株が一段と上昇し、日経平均株価も翌15日に3万3,519円まで上昇した。下旬は、これまで株価が大幅に上昇したこと、決算一巡による材料不足、今後の金利動向への思惑により為替市場で一時1ドル147円台まで円高が進んだことなどから、上値が重かった。それでも日経平均株価は3万3,300円~3万3,600円台の高値圏を維持し、月末は3万3,486円で終えた。11月の日経平均株価は2023年6月以来5カ月ぶりに上昇し、上昇幅は2,628円と今年最大となった。このように日経平均株価が推移する中、海外投資家、事業法人が買い超す一方で、個人、投資信託が売り越した。
2023年11月(10月30日~12月1日)の投資部門別の売買動向をみると、海外投資家が現物と先物の合計で1兆5,434億円の買い越しと、11月最大の買い越し部門であった。週間では、第2週(11月6日~10日)は1兆1,221億円、第3週(11月13日~17日)は1兆275億円も買い越した。米金融引締め観測が後退し、米国株が上昇したことなどから、11月前半は日本株にも海外投資家の買いが入った。その後、海外投資家は売り越しに転じ、第4週(11月20~24日)は4,224億円、第5週(11月27~12月1日)は4,020億円と、金額こそ11月前半の買い越し額よりは少ないが、売り越しとなった。月末にかけては、米国株は引き続き堅調だったが、日本株については一部の海外投資家の利益確定売りが出たこともあり、上値が重かった。図表2は海外投資家の動向を現物と先物に分けて集計したものである。9月後半以降は短期投資家が中心の、先物(青色)の売買が主導していることが確認できる。11月第2週、第3週も買いの中心は先物だった。
図表3は、2023年4月以降の海外投資家の現物と先物の売買動向を、週次で累積したものである。まず、4~6月の日本株式の上昇は現物の買いが主導していたが、7月以降は買いの勢いが止まり、9月は売却が優勢だった。10月以降は再び買いが優勢も、4~6月のような勢いはなく、全体ではほぼ横ばいで推移している。その一方で先物は、現物と異なり4月から9月前半まで全体では買い越しだった。しかし、9月後半から10月にかけて売りが優勢となり、10月中に4月から買い越してきた分をすべて売り切ったことが確認できる。その後、11月は再び海外投資家の先物は買い越しとなったが、海外投資家の先物ポジションはそれほど蓄積されていないと思われる。従って、よほどネガティブなニュースが出ない限り、12月は大幅に売り越してくることはないかもしれない。ただし、もともと12月は多くの海外投資家がクリスマス休暇に入るため、現物を中心に売買自体が低調になる傾向がある。売買自体が低調になるなかで、短期投資家中心の先物の動向が日本株式全体に与える影響が大きくなる可能性がある点は注意が必要だろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年12月12日「研究員の眼」)

03-3512-1855
経歴
- 【職歴】
2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
2015年 ニッセイ基礎研究所入社
2020年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)
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