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- 貿易統計23年9月-7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.2%程度のマイナスに
2023年10月19日
1.輸出数量が1年ぶりに前年比プラス
財務省が10月19日に公表した貿易統計によると、23年9月の貿易収支は624億円の黒字となり、事前の市場予想(QUICK集計:▲4,250億円、当社予想は▲4,529億円)を大きく上回る結果となった。輸出が前年比4.3%(8月:同▲0.8%)と3ヵ月ぶりに増加に転じる一方、輸入が前年比▲16.3%(8月:同▲17.7%)と4ヵ月連続で前年比二桁の大幅減少となったため、貿易収支は前年に比べ21,616億円の改善となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比0.7%(8月:同▲5.2%)、輸出価格が前年比3.6%(8月:同4.7%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲2.6%(8月:同▲7.2%)、輸入価格が前年比▲14.1%(8月:同▲11.3%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比0.7%(8月:同▲5.2%)、輸出価格が前年比3.6%(8月:同4.7%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲2.6%(8月:同▲7.2%)、輸入価格が前年比▲14.1%(8月:同▲11.3%)であった。
貿易収支は原数値では黒字となったが、季節調整値では▲4,341億円と、8月の▲5,530億円から赤字幅が縮小したが、21年6月以降、28ヵ月連続の赤字となった。貿易赤字(季節調整値)は22年夏場のピーク時から大きく縮小しているものの、実勢として赤字を脱したわけではない。
2.自動車が輸出の牽引役に
23年9月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比6.6%(8月:同▲3.6%)、EU向けが前年比0.8%(8月:同1.5%)、アジア向けが前年比▲2.6%(8月:同▲10.4%)、うち中国向けが前年比▲10.6%(8月:同▲15.5%)となった。
23年7-9月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比3.4%(4-6月期:同3.3%)、EU向けが前期比3.4%(4-6月期:同4.8%)、アジア向けが前期比2.7%(4-6月期:同0.5%)、うち中国向けが前期比0.5%(4-6月期:同6.8%)、全体では前期比2.3%(4-6月期:同1.9%)となった。
23年7-9月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比3.4%(4-6月期:同3.3%)、EU向けが前期比3.4%(4-6月期:同4.8%)、アジア向けが前期比2.7%(4-6月期:同0.5%)、うち中国向けが前期比0.5%(4-6月期:同6.8%)、全体では前期比2.3%(4-6月期:同1.9%)となった。
23年7-9月期は主要国・地域向けがいずれも前期比で上昇し、底堅い動きとなった。ただし、中国向け輸出は、中国経済の停滞に加え、ALPS処理水放出を受けた日本の水産物輸入停止の影響で、持ち直しのペースが鈍い。23年9月の中国向け輸出のうち、食料品は前年比▲58.0%の大幅減少(7月:同▲23.9%→8月:同▲43.0%)となった。
輸出全体を品目別にみると、IT関連の低迷は続いているが、供給制約の緩和を受けた自動車が輸出の牽引役となっている。9月の輸出金額は前年比4.3%の増加となったが、そのうち4.0%が自動車の寄与によるものである。
先行きの輸出は、中国向けの低迷が続くことに加え、金融引き締めの影響で景気減速が見込まれる欧米向けも回復ペースが鈍化する公算が大きく、弱めの動きがとなることが予想される。
輸出全体を品目別にみると、IT関連の低迷は続いているが、供給制約の緩和を受けた自動車が輸出の牽引役となっている。9月の輸出金額は前年比4.3%の増加となったが、そのうち4.0%が自動車の寄与によるものである。
先行きの輸出は、中国向けの低迷が続くことに加え、金融引き締めの影響で景気減速が見込まれる欧米向けも回復ペースが鈍化する公算が大きく、弱めの動きがとなることが予想される。
3.7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.2%程度のマイナスに
9月までの貿易統計と8月までの国際収支統計の結果を踏まえて、23年7-9月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比1%台前半の増加、輸入が前期比2%台前半の増加となった。この結果、7-9月期の外需寄与度は前期比▲0.2%(4-6月期:同1.8%)のマイナスとなることが予想される。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、10/31のweeklyエコノミストレターで23年7-9月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、民間消費、設備投資などの国内需要は一定の底堅さを維持するものの、外需が成長率を押し下げることから、ほぼゼロ成長になると予想している。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、10/31のweeklyエコノミストレターで23年7-9月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、民間消費、設備投資などの国内需要は一定の底堅さを維持するものの、外需が成長率を押し下げることから、ほぼゼロ成長になると予想している。
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(2023年10月19日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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