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- 消費者物価(全国23年8月)-コアCPI上昇率は9月に3%を割り込んだ後、23年度中は2%台で推移する見込み
2023年09月22日
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1.コアCPI上昇率は7ヵ月連続の3%台

既往の燃料価格下落の影響で電気代、ガス代の下落率が拡大したが、全国旅行支援による押し下げがなくなった宿泊料の上昇ペースが加速(7月:前年比15.1%→8月;同18.1%)したことがコアCPIを押し上げた。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比4.3%(7月:同4.3%)、総合は前年比3.2%(7月:同3.3%)であった。
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(7月:前年比1.1%→8月:同7.5%)の上昇率が拡大し、灯油(7月:前年比▲1.4%→8月:同3.2%)は6ヵ月ぶりに上昇したが、電気代(7月:前年比▲16.6%→8月:同▲20.9%)、ガス代(7月:前年比▲5.3%→8月:同▲9.5%)の下落率が拡大したことから、エネルギー価格の下落率は7月の前年比▲8.7%から同▲9.8%へと拡大した。ガソリン、灯油は6月から燃料油価格激変緩和措置の補助が段階的に縮減されている中、原油高、円安が進んでいることが価格の押し上げにつながっているが、9月以降は補助率の見直しにより押し下げられる見込みである。
食料(生鮮食品を除く)は前年比9.2%(7月:同9.2%)となり、上昇率は前月と変らなかった。外食は23年3月の前年比6.9%をピークに5ヵ月連続で伸びが鈍化し、8月には同5.3%となったが、麺類(前年比10.5%)、調味料(同10.5%)、菓子類(同11.7%)などは前年比で二桁の高い伸びが続いている。
食料(生鮮食品を除く)は前年比9.2%(7月:同9.2%)となり、上昇率は前月と変らなかった。外食は23年3月の前年比6.9%をピークに5ヵ月連続で伸びが鈍化し、8月には同5.3%となったが、麺類(前年比10.5%)、調味料(同10.5%)、菓子類(同11.7%)などは前年比で二桁の高い伸びが続いている。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.88%(7月:▲0.78%)、食料(除く生鮮食品・外食)が1.91%(7月:1.91%)、その他財が1.06%(7月:1.00%)、サービスが1.01%(7月:0.99%)、全国旅行支援が0.00%(7月:同▲0.03%)であった。
2.物価上昇品目の割合は8割越えが続く
3.コアCPI上昇率は9月以降、2%台の推移が続く見込み
ガソリン、灯油等に対する燃料油価格激変緩和措置の補助率は6月以降、段階的に引き下げられ、9月末には終了する予定となっていたが、円安、原油高の再進行を受けて、政府は同措置の延長を決定した。ガソリン店頭価格は9/4には1リットル当たり186.5円(全国平均、レギュラー)と過去最高値を更新したが、補助率の見直しにより9/19には182.0円となり、10月中には175円程度まで低下する見込みとなっている。
また、23年2月から実施されている電気・都市ガス代の激変緩和措置は、10月(9月使用分)に値引き額が半減されることが決まっていたが、これも年末まで延長された。
足もとのガソリン店頭価格は、補助金がなければ1リットル当たり200円を超えており、円高、原油安が大きく進まない限り、年末でも175円を大きく上回る。また、補助額が一定となっている電気代、都市ガス代は、燃料価格の上昇を反映し今後は上昇することが見込まれる。年末までとなっている激変緩和措置は年明け以降も継続される公算が大きい。
このため、エネルギー価格は当面政策的に抑えられるが、コアコアCPIが5ヵ月連続で4%台の伸びとなるなど、基調的な物価上昇圧力は依然として強い。3ヵ月連続で前年比二桁のマイナスとなっている輸入物価は、足もとの円安・原油高を受けて上昇に転じる可能性が高い。前年の伸びが高かったこともあり、財価格の前年比上昇率は鈍化することが見込まれるが、そのペースは緩やかなものにとどまるだろう。
また、サービス価格は前年比2.0%と、23年のベースアップと同程度の伸びとなったが、長期にわたって価格が据え置かれてきたこともあり、上昇ペースがさらに加速する可能性が高い。
コアCPI上昇率は、エネルギー価格の下落率拡大を主因として9月に3%を割り込んだ後、23年度中は2%台で推移することが予想される。
また、23年2月から実施されている電気・都市ガス代の激変緩和措置は、10月(9月使用分)に値引き額が半減されることが決まっていたが、これも年末まで延長された。
足もとのガソリン店頭価格は、補助金がなければ1リットル当たり200円を超えており、円高、原油安が大きく進まない限り、年末でも175円を大きく上回る。また、補助額が一定となっている電気代、都市ガス代は、燃料価格の上昇を反映し今後は上昇することが見込まれる。年末までとなっている激変緩和措置は年明け以降も継続される公算が大きい。
このため、エネルギー価格は当面政策的に抑えられるが、コアコアCPIが5ヵ月連続で4%台の伸びとなるなど、基調的な物価上昇圧力は依然として強い。3ヵ月連続で前年比二桁のマイナスとなっている輸入物価は、足もとの円安・原油高を受けて上昇に転じる可能性が高い。前年の伸びが高かったこともあり、財価格の前年比上昇率は鈍化することが見込まれるが、そのペースは緩やかなものにとどまるだろう。
また、サービス価格は前年比2.0%と、23年のベースアップと同程度の伸びとなったが、長期にわたって価格が据え置かれてきたこともあり、上昇ペースがさらに加速する可能性が高い。
コアCPI上昇率は、エネルギー価格の下落率拡大を主因として9月に3%を割り込んだ後、23年度中は2%台で推移することが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年09月22日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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