新築マンション市場の動向(首都圏・全国2023年6月)-最高値更新、今後は供給戸数減少が加速の見通し 基礎研REPORT(冊子版)10月号[vol.319] | ニッセイ基礎研究所
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新築マンション市場の動向(首都圏・全国2023年6月)-最高値更新、今後は供給戸数減少が加速の見通し
基礎研REPORT(冊子版)10月号[vol.319]
金融研究部 准主任研究員 渡邊 布味子
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1―首都圏新築マンション市場では、高値更新と供給減が続いている
傾向を見るために発売価格と発売戸数それぞれを直近12ヶ月の移動平均に変換してみると、2023年6月の価格は7,924万円( 前年同月比+12.6%、2013年同月比+57.5%)、発売戸数は2,280戸( ▲17.3%、▲44.3%)となった[図表1]。首都圏新築マンション市場では、価格の高値更新と供給戸数の減少が続いている。
2―新築マンションの価格は戸当たり価格の見かけ以上に上昇している
3― 住宅価格がさらに上がると思う人が買っている
一方で「住宅ローン金利が安い」と考える人は2019年の41%から35%に、「住宅価格がお手頃」と考える人は29%から25%に、「ローン減税が有利」と考える人は18%から14%に減少した。
一見矛盾しているように見えるが、価格帯によって需要者動向が異なると考えると答えが見えてくるのではないだろうか。つまり、標準的な価格帯のマンションについては割高に感じる人が増えて売れ行きが鈍る一方で、市場全体の一部である立地も設備もよい高価格帯のマンションについては資金的に余裕のある人が「さらに価格が高くなる」と考えて積極的に購入し、市場全体では高価格が多くなり平均価格が引き上げられていると考えられる。
4―デベロッパーは将来のマンション用地を確保できていない
一部のデベロッパーは十分な用地を確保していることが確認できる。しかし、多くのデベロッパーは、用地取得競争の激化と用地価格の高騰、建築費の高騰から、新たな用地を仕入れることが困難になっているようだ。マンション用地購入からマンション完成までには、最短で2年程度の期間が必要である。今年の下期のマンション用地取得額が前年同期の取得額を大きく上回らない限り、2、3年後の新築マンション供給戸数は減少傾向が加速する可能性が高い。
5― マンション供給エリアは全国で拡大している
6―まとめ
特に東京23区の一部については、さらに価格上昇が期待できると考えて投資目的で購入する人もおり、価格の上昇率が突出している。一方で、東京都下や首都圏3県では停滞をはじめたエリアも散見される。たまたまその時期に販売された高額な物件が月次の平均価格を引き上げる事象も確認でき、特に首都圏新築マンションの価格については、平均値で見るだけではなく細分化したエリア別に動向を見ていく必要があると考える。
デベロッパーのマンション用地取得額が大きく減少し、これから新築マンション供給は一層少なくなることが予想されることから、今後も新築マンションの発売価格は高値水準での推移が続くだろう。
なお、資産防衛の観点からは、購入予定のマンションが中古マンションとなった際の価値について、保守的に考えた方が良いと思われる。
また、日銀の金融緩和の方針については注意が必要である。金融緩和政策が変更されて長短金利が引き上げられると、住宅ローン金利も引きあがるため、新規にマンションを購入したい人の借入可能額の減少を通じて住宅価格が下落する可能性があるだろう。
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03-3512-1853
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
(2023年10月10日「基礎研マンスリー」)
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