- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- 消費者行動 >
- サステナビリティに関わる意識と消費行動(1)-SDGsは認知度7割だが、価格よりサステナビリティ優先は1割未満
サステナビリティに関わる意識と消費行動(1)-SDGsは認知度7割だが、価格よりサステナビリティ優先は1割未満

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- ニッセイ基礎研究所が8月に20~74歳を対象にサステナビリティに関わる意識について調査をしたところ、キーワードの認知度では「SDGs」(70.0%)や「再生可能エネルギー」(56.7%)、「フードロス」(49.0%)、「カーボンニュートラル」(48.5%)、「健康寿命」(45.3%)、「ヤングケアラー」(42.4%)などが上位にあがる。ただし、現在のところ、内容まで知っている割合は半数に満たない。
- なお、「ヤングケアラー」は、現在、中高生のクラスに1~2人は存在する状況であり、昨年度から政策として支援策が強化されている。本来、勉強や部活動などに集中できる時期に家事や介護、育児などの負担の大きな状況は、心身の発達や人間関係、進路などに影響を及ぼす。将来を担う世代の生活環境の改善は、持続可能な社会を維持する上で非常に重要な課題だ。
- キーワードの認知状況について1年半前と比べると、5類引き下げ以降、消費者意識が外へ向かうことで、サステナビリティへの関心が僅かながら弱まりつつも、内容についての理解は深まっている傾向がうかがえる。属性別には、男性では企業活動、女性では日常生活に関わるキーワードの認知度が高く、年齢は高いほど、世帯年収は高いほど全体的に認知度が高い傾向があった。
- 日頃の消費行動を見ると、エコバッグの持参や詰め替え製品の購入などプラスチックごみが出にくい行動は浸透しつつあるが、価格よりサステナビリティを優先して製品を選ぶ消費者は1割に満たない。物価高で低価格志向が高まり、モノを長く使う・リサイクルをすることでも貢献できるという側面もあるだろう。なお、男性より女性、高年齢ほど積極的に取り組む傾向があり、高年収層で省エネ家電の購入なども多い。
- 企業の広報活動などではZ世代をターゲットとするものが多いようだが、当調査に基づくと、「Z世代は昔の若者と比べればサステナブル意識が高いが、現時点を比べれば年齢が高いほどサステナブル意識は高い」という理解が妥当だ。将来的には、すべての消費者にとってサステナビリティという観点が重要になるだろうが、価格を優先する消費者が大半である現在は、消費者の特徴を丁寧に捉えた訴求が必要だ。
■目次
1――はじめに~近年、高まるサステナビリティに関する意識、その実態は?
2――サステナビリティについてのキーワードの認知状況
~SDGsが首位、Z世代よりシニアで認知度高い
1|全体の状況
~1位「SDGs」70.0%、2位「再生可能エネルギー」56.7%だが、内容まで理解は
半数以下
2|性年代別の状況
~男性は企業活動、女性は日常生活に関わる事柄、Z世代よりシニアで認知度高い
3|職業や世帯年収別の状況
~職業は性年代の特徴による影響、世帯年収が高いほど認知度高い
3――サステナビリティに(も)関わる消費行動
~女性やシニアで積極的、価格よりサステナ優先は少数
1|全体の状況
~エコバッグ持参やゴミ分別は浸透、価格よりサステナビリティ優先は1割未満
2|性年別の状況
~女性やシニアで積極的、70~74歳で価格よりサステナビリティ優先が約2割
3|職業・世帯年収別の状況
~職業は性年代の特徴による影響、高年収層でサステナ優先が若干高め社
4――現在のところ、価格よりサステナビリティ優先の消費者は少数派、
企業等は丁寧な属性把握が必要
(2023年09月15日「基礎研レポート」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/22 | 家計消費の動向(二人以上世帯:~2025年2月)-物価高の中で模索される生活防衛と暮らしの充足 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
2025/04/14 | 「トキ消費」の広がりとこれから-体験が進化、共有が自然な消費スタイル、10年後は? | 久我 尚子 | 研究員の眼 |
2025/04/08 | 2025年の消費動向-節約一服、コスパ消費から推し活・こだわり消費の広がり | 久我 尚子 | 基礎研マンスリー |
2025/04/01 | 「こづかい」が20年で7割減少?-経済不安、キャッシュレスやサブスクなど消費のデジタル化の影響も | 久我 尚子 | 基礎研レター |
新着記事
-
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~ -
2025年04月30日
「スター・ウォーズ」ファン同士をつなぐ“SWAG”とは-今日もまたエンタメの話でも。(第5話) -
2025年04月30日
米中摩擦に対し、持久戦に備える中国-トランプ関税の打撃に耐えるため、多方面にわたり対策を強化 -
2025年04月30日
米国個人年金販売額は2024年も過去最高を更新-トランプ関税政策で今後の動向は不透明に-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【サステナビリティに関わる意識と消費行動(1)-SDGsは認知度7割だが、価格よりサステナビリティ優先は1割未満】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
サステナビリティに関わる意識と消費行動(1)-SDGsは認知度7割だが、価格よりサステナビリティ優先は1割未満のレポート Topへ