2023年09月11日

【少子化社会データ詳説】日本の未婚化を正しく解釈する-若者の希望と違った応援議論はなぜおこるのか

生活研究部 人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子

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4――未婚化の誤解:優しくありたい、その前に

【少子化社会データ詳説】日本の未婚化を正しく解釈する、の結論は、日本の少子化の主因は、未婚化であり、それを解決するためには

(1) 結婚意志は男女ともに約30年前の9割水準にキープされており、「結婚意志の下落」は婚姻減に関して説明力不足である

(2) 依然高い結婚希望が結婚につながらなくなっているが、そもそも中高年と若者では理想とする夫婦像が激変している

ことを理解しなくてはならない。
 
さらに、注意すべき点は、人口構造の変化がもたらす「世論」の動向である。

日本は急速な少子化によって、2020年の国勢調査では団塊ジュニアを含む40歳代人口が最も多く、20歳代人口はその67%しかいないという状況にある。40歳代以上人口:30歳代人口以下=6:4となっており、中高年層が多数派となっている。一方、半世紀前の1970年の日本では、(40歳代以上人口):(30歳代以下人口)=3:7で20歳代人口が最も多かった。そのため、かつての若者である中高年は「若者の声は十分聞こえているだろう」と勘違いしやすく、知らず知らずの間に若年層の声をネグレクトしていることに気がつかない可能性がある。
 
統計的に見れば、日本において次世代人口である赤ちゃんを生み出す「結婚」というイベントは(日本は98%が婚内子として出生)、以前より、26歳から27歳をピークとして、34歳までの男女間で行われている1。つまり、今や少数派の結婚の担い手世代は、シルバー民主主義によるアンコンシャス・バイアスの弊害(ハラスメント、ネグレクト等)を受けやすいといえる。今後高齢化がさらに進行する中で、かつてないほどに「いまどきの結婚」への無理解が進みかねない社会への警戒を強めなければならない。
 
34歳までの若い世代が最も理想とする「子育て期も夫婦ともに仕事を辞めずに、ずっと働き続けられる雇用環境の提供」は、未婚化解消に極めて重要である。

「夫(男)にもっと稼がせてやらないと」「妻(女)には仕事なんかしないで家事育児にゆっくり専念してもらわないと」と優しく接したつもりが、ハラスメントといわれた、身に覚えがある読者もいるのではないだろうか。
 
1 2021年の厚生労働省の婚姻統計を用いて初婚同士の成婚者の成婚年齢を分析すると、成婚者の8割が32歳までの女性と34歳までの男性で成立していることがわかる。

【参考資料】
 
厚生労働省 「人口動態調査」
 
国立社会保障・人口問題研究所 「出生動向基本調査」
 
天野 馨南子 , 「【少子化社会データ詳説】日本の人口減を正しく読み解く-合計特殊出生率への誤解が招く止まらぬ少子化」, (株)ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2023年7月24日号
 
天野 馨南子 , 「激変した『ニッポンの理想の家族』-第16回出生動向基本調査「独身者調査」分析/ニッポンの世代間格差を正確に知る」,  (株)ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2022年10月3日号
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生活研究部   人口動態シニアリサーチャー

天野 馨南子 (あまの かなこ)

研究・専門分野
人口動態に関する諸問題-(特に)少子化対策・東京一極集中・女性活躍推進

(2023年09月11日「基礎研レポート」)

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