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- 新築マンション市場の動向(首都圏・全国2023年6月)~最高値更新、今後は供給戸数減少が加速の見通し
2023年07月28日
4. デベロッパーは将来のマンション用地を確保できていない
供給者側を見てみると、マンション用地の取得額は減少している。MSCIリアルキャピタル・アナリティクスによると、2023年7月21日までに判明した関東圏のマンション用地の取得額は約158億円1、2023年1-6月累計の前年同期比は▲81.3%とマイナスであった(図表7)。
一部のデベロッパーは十分な用地を確保していることが確認できる。しかし、多くのデベロッパーは、用地取得競争の激化と用地価格の高騰、建築費の高騰から、新たな用地を仕入れることが困難になっているようだ。マンション用地購入からマンション完成までには、最短で2年程度の期間が必要である。今年の下期のマンション用地取得額が前年同期の取得額を大きく上回らない限り、2、3年後の新築マンション供給戸数は減少傾向が加速する可能性が高い。
一部のデベロッパーは十分な用地を確保していることが確認できる。しかし、多くのデベロッパーは、用地取得競争の激化と用地価格の高騰、建築費の高騰から、新たな用地を仕入れることが困難になっているようだ。マンション用地購入からマンション完成までには、最短で2年程度の期間が必要である。今年の下期のマンション用地取得額が前年同期の取得額を大きく上回らない限り、2、3年後の新築マンション供給戸数は減少傾向が加速する可能性が高い。
1 1千万ドル以上(現在のレートで14億以上)の取引のみを計上。
5. マンション供給エリアは全国で拡大している
なお、用地取得競争の激化から全国の地方都市にも新築マンションの供給が広がっている。購入者は販売エリア近隣の高額所得者などで、価格も上昇している。
不動産経済研究所によると、2022年のマンションデベロッパー上位20社合計の年間販売戸数のうち、44%が首都圏で、24%が近畿圏で、30%が首都圏・近畿圏以外で供給されている。またデベロッパーによって供給の多い圏域は異なっており、野村不動産グループ、三井不動産グループ、住友不動産グループなどが年間販売戸数のうちの半分以上を首都圏で供給する一方、タカラレーベングループ、あなぶきグループ、オリックスグループは7割以上を首都圏・近畿圏以外で供給している(図表8)。
2022年は全国の新築マンション発売戸数は7万2967戸であった。2023年は約7.5万戸(前年比+2.8%)の供給が見込まれている。マンションは最も土地を効率的に利用する用途の1つであり、今後も全国的な供給は続くと考える。
不動産経済研究所によると、2022年のマンションデベロッパー上位20社合計の年間販売戸数のうち、44%が首都圏で、24%が近畿圏で、30%が首都圏・近畿圏以外で供給されている。またデベロッパーによって供給の多い圏域は異なっており、野村不動産グループ、三井不動産グループ、住友不動産グループなどが年間販売戸数のうちの半分以上を首都圏で供給する一方、タカラレーベングループ、あなぶきグループ、オリックスグループは7割以上を首都圏・近畿圏以外で供給している(図表8)。
2022年は全国の新築マンション発売戸数は7万2967戸であった。2023年は約7.5万戸(前年比+2.8%)の供給が見込まれている。マンションは最も土地を効率的に利用する用途の1つであり、今後も全国的な供給は続くと考える。
6. まとめ
首都圏新築マンションは、価格の上昇と供給減が続いている。初月契約率は70%を割り込む月もあるものの、概ね良好な状態である。ただし、今の首都圏マンション市場で売れている物件の多くは、立地もグレードも良い高価格帯のマンションである。
特に東京23区の一部については、さらに価格上昇が期待できると考えて投資目的で購入する人もおり、価格の上昇率が突出している。一方で、東京都下や首都圏3県では停滞をはじめたエリアも散見される。たまたまその時期に販売された高額な物件が月次の平均価格を引き上げる事象も確認でき、特に首都圏新築マンションの価格については、平均値で見るだけではなく細分化したエリア別に動向を見ていく必要があると考える。
直近ではデベロッパーのマンション用地取得額が大きく減少していることから、これから新築マンション供給は一層少なくなることが予想される。デベロッパーは少ない将来の用地在庫で今後数年以上の期間に亘って売上を維持しなければならず、新築マンションの売値を下げられる状況にはない。今後も新築マンションの発売価格は高値水準での推移が続くだろう。
なお、日銀の金融緩和の方針については注意が必要である。金融緩和政策が変更されて長短金利が引き上げられると、住宅ローン金利も引きあがるため、新規にマンションを購入したい人の借入可能額の減少を通じて住宅価格が下落する可能性がある。
また、資産防衛の観点からは、新築マンションは住み始めた瞬間から中古マンションになることは忘れてはならない。中古マンション市場では、価格の高まりから新築と競争できるようなマンション以外は価格を引き下げない限り売れ残る可能性が高まっている2。これから新築マンションを購入する人は、実際に長く住むのであればあまり問題はないものの、近い将来に住み替え予定であるとか、投資として購入するのであれば、購入予定のマンションが中古マンションとなった際の価値については保守的に考えた方が良いと思われる。
特に東京23区の一部については、さらに価格上昇が期待できると考えて投資目的で購入する人もおり、価格の上昇率が突出している。一方で、東京都下や首都圏3県では停滞をはじめたエリアも散見される。たまたまその時期に販売された高額な物件が月次の平均価格を引き上げる事象も確認でき、特に首都圏新築マンションの価格については、平均値で見るだけではなく細分化したエリア別に動向を見ていく必要があると考える。
直近ではデベロッパーのマンション用地取得額が大きく減少していることから、これから新築マンション供給は一層少なくなることが予想される。デベロッパーは少ない将来の用地在庫で今後数年以上の期間に亘って売上を維持しなければならず、新築マンションの売値を下げられる状況にはない。今後も新築マンションの発売価格は高値水準での推移が続くだろう。
なお、日銀の金融緩和の方針については注意が必要である。金融緩和政策が変更されて長短金利が引き上げられると、住宅ローン金利も引きあがるため、新規にマンションを購入したい人の借入可能額の減少を通じて住宅価格が下落する可能性がある。
また、資産防衛の観点からは、新築マンションは住み始めた瞬間から中古マンションになることは忘れてはならない。中古マンション市場では、価格の高まりから新築と競争できるようなマンション以外は価格を引き下げない限り売れ残る可能性が高まっている2。これから新築マンションを購入する人は、実際に長く住むのであればあまり問題はないものの、近い将来に住み替え予定であるとか、投資として購入するのであれば、購入予定のマンションが中古マンションとなった際の価値については保守的に考えた方が良いと思われる。
(ご注意)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経歴
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
(2023年07月28日「不動産投資レポート」)
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