- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- コーポレートガバナンス >
- SBI新生銀行の非公開化ー公開買付けから株式併合への二段階買収
2023年07月19日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
SBI新生銀行は東証スタンダードの上場企業であるが、SBIホールディングス(実際にはSBI地銀ホールディングス)の子会社であり、そのほか預金保険機構、整理回収機構という大株主がいる。
SBI新生銀行は元々日本長期信用銀行として公的資金を受け入れた経緯があり、国は株式の売却によってその返済を求める予定であった。しかし、そのために必要な株価(7500円)に対して、現状は2500円程度であり、株式売却の方法では公的資金返済が困難であることは明らかであった。
そこで、SBIホールディングスはSBI新生銀行を非公開化し、業務効率を改善して収益力を高め、株式配当などの方法で公的資金返済を行うことを計画することとした。
非公開化にあたっては、公開買付けを行った上で、株式併合により一般の株主を締め出す(スクイーズアウト)という「二段階買収」という手法を取ることとした。これは公正な手続によって公開買付けが行われたという前提において、スクイーズアウトにより現金化される株式の価格が公開買付けの価格と同一であれば、特段の事情がない限り、スクイーズアウトされる価格も適正であるとの最高裁判決に基づいて行われるものである。
本稿では「公開買付け」「株式併合」「スクイーズアウト」「二段階買収」といった概念を解説することにより、今回の手続がどのようなものかを理解を深めていただくことを目的とする。
■目次
1――はじめに
2――公開買付け
1|公開買付けとは
2|公開買付けを行うべき場合
3|公開買付け制度と本件の関係
3――スクイーズアウトとしての株式併合
1|株式併合とは
2|株式併合の課題
4――公開買付け買い付け価格・端株の買取価格
1|締め出される株主に支払うべき価格とは
2|指針の提示する適正な措置
5――SBI新生銀行公開買付けで行われた手続
1|公開買付けの条件妥結に至るまで
2|SBI新生銀行サイドの措置
6――おわりにかえて
SBI新生銀行は東証スタンダードの上場企業であるが、SBIホールディングス(実際にはSBI地銀ホールディングス)の子会社であり、そのほか預金保険機構、整理回収機構という大株主がいる。
SBI新生銀行は元々日本長期信用銀行として公的資金を受け入れた経緯があり、国は株式の売却によってその返済を求める予定であった。しかし、そのために必要な株価(7500円)に対して、現状は2500円程度であり、株式売却の方法では公的資金返済が困難であることは明らかであった。
そこで、SBIホールディングスはSBI新生銀行を非公開化し、業務効率を改善して収益力を高め、株式配当などの方法で公的資金返済を行うことを計画することとした。
非公開化にあたっては、公開買付けを行った上で、株式併合により一般の株主を締め出す(スクイーズアウト)という「二段階買収」という手法を取ることとした。これは公正な手続によって公開買付けが行われたという前提において、スクイーズアウトにより現金化される株式の価格が公開買付けの価格と同一であれば、特段の事情がない限り、スクイーズアウトされる価格も適正であるとの最高裁判決に基づいて行われるものである。
本稿では「公開買付け」「株式併合」「スクイーズアウト」「二段階買収」といった概念を解説することにより、今回の手続がどのようなものかを理解を深めていただくことを目的とする。
■目次
1――はじめに
2――公開買付け
1|公開買付けとは
2|公開買付けを行うべき場合
3|公開買付け制度と本件の関係
3――スクイーズアウトとしての株式併合
1|株式併合とは
2|株式併合の課題
4――公開買付け買い付け価格・端株の買取価格
1|締め出される株主に支払うべき価格とは
2|指針の提示する適正な措置
5――SBI新生銀行公開買付けで行われた手続
1|公開買付けの条件妥結に至るまで
2|SBI新生銀行サイドの措置
6――おわりにかえて
(2023年07月19日「基礎研レポート」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1866
経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2025年4月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
松澤 登のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/16 | 株式併合による非公開化-JAL等によるAGPのスクイーズアウト | 松澤 登 | 研究員の眼 |
2025/06/13 | 株主提案による役員選任議案-フジメディア・ホールディングス | 松澤 登 | 研究員の眼 |
2025/06/10 | 江戸時代の堂島米市場-先物取引所の先駆け | 松澤 登 | 研究員の眼 |
2025/06/02 | 同意なき買収への対応策-ニデックによる牧野フライス買収提案 | 松澤 登 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年06月17日
会社員のキャリアビジョン~男女別・年齢別の比較からみるキャリア志向の変化と管理職登用 -
2025年06月17日
女性の低体重・低栄養症候群(FUS)とは?-日本肥満学会が新たな疾患概念を提唱、プレコンセプションケアが解決の一助となるか- -
2025年06月17日
中国就職・転職事情-DeepSeekの台頭と広がる淘汰の危機感【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(69) -
2025年06月17日
今週のレポート・コラムまとめ【6/10-6/16発行分】 -
2025年06月16日
株式併合による非公開化-JAL等によるAGPのスクイーズアウト
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【SBI新生銀行の非公開化ー公開買付けから株式併合への二段階買収】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
SBI新生銀行の非公開化ー公開買付けから株式併合への二段階買収のレポート Topへ