2023年05月10日

大阪・関西万博について知っておきたいこと

基礎研REPORT(冊子版)5月号[vol.314]

総合政策研究部 主任研究員 小原 一隆

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2025年大阪・関西万博の開催まで2年を切った。2025年4月13日から10月13日まで、大阪市夢洲(ゆめしま)で開催される予定だ。

1―万博とは何か

万博とは、パリ本拠の政府間組織である博覧会国際事務局(BIE)の承認のもと、国際博覧会条約に基づき開催される国際博覧会を指す。第1回は、1851年にロンドンで開催された。産業革命を背景にし、英国の「世界の工場」としての力を誇示するものであった。万博というコンセプトは好評を博し、その後各国で開催された。1988年の条約改正前の旧分類では、一般博覧会(「一般博」)と特別博覧会(「特別博」)が存在した。現在は、登録博覧会(「登録博」)と認定博覧会(「認定博」)が存在する。登録博と認定博では、開催期間やテーマの範囲等が前者の方が大きい。アジア初の万博である1970年日本万国博覧会(大阪万博)は、6,400万人を超える来場者を集め、20世紀で最も多くの人が訪れた万博と
なった。

BIEではこれとは別途、装飾美術及び現代建築に関するミラノ・トリエンナーレおよび国際園芸博覧会の一部(認定博としての取扱)も所管している。

また、オリンピック・パラリンピックとは異なり、主催者は都市ではなく政府である。大阪・関西万博の主催者は2025年日本国際博覧会協会(「協会」)で、日本国政府が協会の開催国としての義務履行を保証する。
[図表1]日本改正(予定)の万博

2―開催・参加の利点は何なのか

万博は、開催国にとっては、自国の成果のアピールや、経済発展・協力、自国文化の豊かさや近代文明への貢献を訴求できるまたとない場である。また、開催都市や国の、質的・量的な経済発展やブランディングに繋がる。参加国や企業は、自国の景観や歴史的遺産、科学技術、未来へのビジョン等、国の全体像を示し、グローバルな課題に関する交流の場となる。

大阪・関西万博では、人・モノを呼び寄せる求心力と発信力が万博にあることから、大阪・関西および日本の成長を持続させる起爆剤にすることを開催目的としている。また、万博を未来社会の実験場と位置づけ、展示・観覧に加え、アイデアを共創する場としている。これらを通じ、SDGs達成への貢献や、国家戦略であるSociety5.0の実現を目指す。空飛ぶクルマや全面電子決済、EXPO COMMONS(サイバー万博)等はその例と言えよう。

3―収支はどうか

万博は非営利とされるものの、当然に収支は黒字である方が良い。2000年以降の登録博で、赤字と判明しているのは2000年のハノーバー万博のみである。大阪・関西万博では昨今の物価上昇を背景に資材価格その他の費用は大きな上振れが想定される。来場者を多く吸引する等で収入を確保することが求められる。
[図表2]2000年以降の万博の収支(登録博)

4―不可抗力による中止・延期など

2020年ドバイ万博においては、新型コロナウイルス感染症への対応で、開催は1年間延期された。日程変更等による経済的不利益は開催国が補償せねばならないが、BIEが不可抗力と認めた場合はその限りではない。大阪・関西万博でも同様に規定されている。

5―おわりに

万博の理念や目的に相応しいコンテンツが来場者の感動体験に繋がれば、より多くの来場を呼び、成功に近づくことであろう。そのためには、残り2年間の準備が重要であることは論を俟たない。既に協会を中心に官民挙げてPR活動を展開しているが、国民一般の大阪・関西万博への注目はこれからだ。

大阪や関西地域の持つ底力や未来への可能性を世界に知らしめ、もって日本の経済力や魅力が更に高まること、開催後のレガシーが未来に良い影響を与え続けられることが期待される。
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総合政策研究部   主任研究員

小原 一隆 (こばら かずたか)

研究・専門分野
日本経済

(2023年05月10日「基礎研マンスリー」)

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