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「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向(2)~都心は過去10年で83%上昇、価格に先行性も。タワーマンションは69%上昇。東京23区全体並みの伸びに留まる。

金融研究部 主任研究員 吉田 資
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1. はじめに
「新築マンション価格指数」でみる東京23区の新築マンション価格は、次の3つのフェーズに分類できる。1つ目は、「2005年~2008年:リーマンショック前までの価格上昇期(不動産ファンドバブル期)」(以下、上昇フェーズI)、2つ目は、「2009年~2012年:リーマンショック後の価格下落期(東日本大震災を含む)」(以下、下落フェーズII)、3つ目は、「2013年~2022年:アベノミクス以降の価格上昇期」(以下、上昇フェーズIII)、である。直近2022年の価格指数(2005年=100)は「192.4」となり、アベノミクスがスタートした2013年以降、過去10年間で+69%上昇した(図表-1)。
本稿では、「新築マンション価格指数」のサブインデックスとなる「エリア別価格指数」と「タワーマンション価格指数」を算出し、その動向について解説する。
1 吉田資『「新築マンション価格指数」でみる東京23区の市場動向(1)』ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート、2023年4月11日
2. 「エリア別価格指数」の算出
2 都心:「千代田区」・「中央区」・「港区」・「渋谷区」・「新宿区」・「文京区」
3 南西部:「品川区」・「目黒区」・「大田区」・「世田谷区」・「杉並区」・「中野区」
4 北部:「北区」・「板橋区」・「練馬区」・「豊島区」
5 東部:「江戸川区」・「江東区」・「台東区」・「墨田区」・「荒川区」・「足立区」・「葛飾区」
6 作成手法は、前回レポートの「3. 「新築マンション価格指数」の作成」を参照されたい。
3. 「タワーマンション価格指数」の算出
建築基準法において、高さ60mを超える建築物については、特殊な構造計算が必要とされ、国土交通大臣による認定が必要と定められている。高さ60m2を超えるのが概ね20階以上であることから、一般的に、20階建て以上のマンションは「超高層マンション」と呼称される7。そこで、階建て20階以上のマンションを「タワーマンション」と定義し、価格指数を作成した。
算出結果をみると、「タワーマンション価格指数」は東京23区と同じく、「上昇フェーズI」→「下落フェーズII」→「上昇フェーズIII」のトレンドで推移している。2022年の価格指数(2005年=100)は「220.6」となり、東京23区(192.4)を上回る結果となった。
東京23区では、タワーマンションの新規供給戸数は減少傾向にあり(参照資料4)、良好な需給環境を背景に、対2005年比で約2.2倍に価格が上昇したと考えられる。
一方で、アベノミクス以降は東京23区と同水準の価格上昇に留まっている。東京23区ではタワーマンションのストック量が拡大し希少性が薄れつつあることや、住戸の多さゆえ合意形成や管理組合運営の難しさ9、等が影響している可能性がある。
次回のレポートでは、新築マンション価格の決定構造が過去20年間でどのように変化してきたかを確認したのち、新築マンション市場の今後の方向性について整理したい。
7 村島正彦「超高層マンションの歴史と展望」後藤・安田記念東京都市研究所 都市問題 2018 年10月号。
8 日本経済新聞「国内不動産、海外個人も熱富裕層のマネー流入 都心10億円物件、一括購入」2022/12/2
9 日経産業新聞「大規模修繕やや遅れ気味、タワマン、合意形成難しく。」2021/7/2
(2023年04月21日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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【「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向(2)~都心は過去10年で83%上昇、価格に先行性も。タワーマンションは69%上昇。東京23区全体並みの伸びに留まる。】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
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