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コロナ禍における東京23区の人口移動
金融研究部 上席研究員 吉田 資
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東京23区の転入超過数を年齢別にみると、「10代」と「20代」は、大学や専門学校等への進学や新卒就職等を背景に「転入超過」を維持している。しかし、「30代」は、2020年に▲14,881人、2021年に▲26,705人となり「転出超過」に転じ、「40代」以上では「転出超過」が拡大傾向にある(図表2)。
これに対して、2021年は「大阪府(+4,995人)」や「愛知県(+4,859人)」が2019年の約7割の水準に留まったほか、「転出超過」の都道府県は8自治体(茨城県・埼玉県・千葉県・東京都下・神奈川県・山梨県・長野県・沖縄県)に増加した。このうち、「埼玉県(▲16,013人)」・「神奈川県(▲14,576人)」・「東京都下(▲11,026人)」は1万人を超える「転出超過」となっている(図表4)。
「在宅勤務を利用することで郊外や地方でも都心と同様に働ける」や「人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じた」、「ライフスタイルを都市部での仕事重視から、郊外や地方での生活重視に変えたい」といった理由から郊外・地方移住に関心を持つ人が増えるなか、東京23区から周辺の都道府県へ人口が流出する動きがみられる。
また、東京23区毎の転入超過数をみると、2019年は「転入超過」が21区にのぼった。一方、2021年は「足立区(+2,297人)」や「江東区(+1,420人)」等、10の区では「転入超過」を維持したが、「江戸川区(▲3,481人)」や「目黒区(▲2,737人)」など13の区が「転出超過」となった。同じ東京23区内でも、人口移動に地域差が生じている(図表5)。
転入超過数(月次)をみると、2022年に入り「転入超過」に転じたが、2022年5月以降、再び「転出超過」となっている。昨年から回復の兆しはみえるものの、コロナ禍前(2019年)の水準には至っていない(図表6)。「在宅勤務」を取り入れた働き方が浸透し、「都心に近い」など通勤利便性を重視する傾向が弱まり、多様な価値基準による住居選択がひろがるなか、住宅需要に影響を及ぼす人口移動にも変化がみられる。不動産運用を行う上で、人口移動を引き続き注視する必要があるだろう。
(2022年10月05日「不動産投資レポート」)
03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
2025年7月より現職
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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