2023年04月19日

米住宅着工・許可件数(23年3月)-着工件数は前月から減少も戸建て住宅に回復の兆し

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

文字サイズ

1.結果の概要:住宅着工件数は市場予想を上回る一方、許可件数は市場予想を下回る

4月18日、米国センサス局は3月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は142.0万件(前月改定値:143.2万件)と145.0万件から下方修正された前月を小幅に下回る一方、市場予想の140.0万件(Bloomberg集計の中央値)は上回った(図表1、図表3)。

着工許可件数(季節調整済、年率)は141.3万件(前月改定値:155.0万件)と152.4万件から上方修正された前月、市場予想の145.0万件を下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建て住宅に回復の兆し、1-3月期の住宅投資のマイナス幅は縮小へ

住宅着工件数の伸びは前月比▲0.8%(前月:+7.3%)と小幅ながらマイナスに転じた(図表3)。集合住宅が▲5.9%(前月:+16.2%)と2桁の伸びとなった前月の反動もあってマイナスに転じた一方、戸建ては+2.7%(前月:+1.8%)と2ヵ月連続のプラスとなり、回復を示した(図表4)。

前年同月比は▲17.2%(前月:▲19.4%)と11ヵ月連続のマイナスとなったほか、5ヵ月連続で2桁のマイナスとなった。内訳をみると、集合住宅が+6.5%(前月:+5.3%)と3ヵ月連続でプラスを維持した一方、戸建てが▲27.7%(前月:▲30.9%)と10ヵ月連続で2桁のマイナスとなって全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、南部が+3.8%ポイント(前月:+0.7%ポイント)と2ヵ月連続でプラスを維持したほか、北東部が+5.3%ポイント(前月:▲1.5%ポイント)と前月からプラスに転じた。一方、中西部が▲2.9%ポイント(前月:+3.4%ポイント)、西部が▲7.1%ポイント(前月:+4.7%ポイント)と前月からマイナスに転じて全体を押し下げた。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲8.8%(前月:+15.8%)と高い伸びとなった前月の反動もあってマイナスに転じた(図表5)。集合住宅が▲22.1%(前月:+23.8%)と2桁のマイナスに転じて全体を押し下げたが、着工件数同様、戸建ては+4.1%(前月:+8.9%)と2ヵ月連続のプラスとなり、回復の兆しを示した(図表6)。

前年同月比は▲24.8%(前月:▲16.5%)と8ヵ月連続のマイナスとなったほか、前月からマイナス幅が拡大した。戸建てが▲29.7%(前月:▲34.7%)と13ヵ月連続でマイナスとなったほか、集合住宅も▲16.9%(前月:+17.0%)とマイナスに転じた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で3月がそれぞれ▲0.7%(12月:▲13.7%)、+10.1%(12月:▲40.9%)と、いずれも12月の大幅なマイナスから持ち直しており、着工許可件数は22年4月以来、11ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表7)。

このため、4月27日に発表される23年1-3月期の実質GDPにおける住宅投資は前期の前期比年率▲25.1%から、マイナス成長は継続も大幅にマイナス幅が縮小するとみられる。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2023年04月19日「経済・金融フラッシュ」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【米住宅着工・許可件数(23年3月)-着工件数は前月から減少も戸建て住宅に回復の兆し】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

米住宅着工・許可件数(23年3月)-着工件数は前月から減少も戸建て住宅に回復の兆しのレポート Topへ