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「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向(1)~良好な需給環境と低金利を背景に、東京23区の新築マンション価格は過去10年間で+69%上昇

金融研究部 主任研究員 吉田 資
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長期固定金利住宅ローンである「フラット35」の金利は、2005年から2008年にかけて2%前半から3%台へ上昇した後、低下に転じ、2016年には1%を下回る水準まで低下した。その後も概ね1%台前半で推移していたが、2022年に入りやや上昇している(図表-15)。
住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査」によれば、「今(今後1年程度)は、住宅取得の買い時だと思うか」という質問に対して、「買い時だと思う」との回答が「買い時とは思わない」との回答を、2021年10月調査まで上回る状況が続いていた(図表-16)。また、「買い時だと思う理由」として、「住宅ローン金利が低水準だから」との回答が最多を占める(図表-17)。このように、長期にわたる低金利がマンション購入資金の負担を軽減し、マンション購入を後押してきたことが確認できる。
3. 「新築マンション価格指数」の作成
図表-18に、「新築マンション価格指数」(年次)の算出結果を示した。2005年以降の価格動向をみると、次の3つのフェーズに分類することができる。1つ目は、「2005年~2008年:リーマンショック前までの価格上昇局面(不動産ファンドバブル期)」、2つ目は「2009年~2012年:リーマンショック後の価格下落局面(東日本大震災を含む)」、3つ目は「2013年~2022年:アベノミクス以降の価格上昇局面」である。直近2022年の価格指数(2005年=100)は「192.4」となり、アベノミクスがスタートして以降の過去10年間で+69%上昇した。
人手不足に伴う建築コストの上昇やマンション用地価格の高止まりを背景に、マンションデベロッパーが慎重な供給姿勢を維持するなか、東京23区の新築マンションの新規供給は長期的に減少傾向にある。一方、マンション居住の意向が高まり、主なマンション購入層である「夫婦のみの世帯」と「未就学児がいる世帯」の増加が続くなか、低金利環境がマンション購入を後押している。この結果、東京23区の新築マンション市場は良好な需給環境が継続しており、リーマンショック後の価格下落局面(2009年~2012年)を除いて、長期にわたり価格上昇が続いていると考えられる。
(補論)「新築マンション価格指数」と「平均価格・㎡単価」(不動産経済研究所公表)の比較
(ご注意)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年04月11日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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