- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 欧州経済 >
- ユーロ圏消費者物価(23年3月)-総合指数は6%台まで低下
2023年04月03日
1.結果の概要:総合指数は6%台に
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:コア指数は伸び率加速が続き、インフレ圧力は根強い
23年3月のHICP上昇率(前年同月比)は全体で6.9%となり、2月の8.5%から大幅に低下した3。一方、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は5.7%と2月(5.6%)から加速し、統計データ開始以来の最も高い伸び率を更新した。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が1月6.7%→2月6.8%→3月6.6%、「サービス」(エネルギーを除く)が1月4.4%→2月4.8%→3月5.0%となり、財・サービスのいずれも高い伸び率が続いている(前掲図表2)。前年同月比寄与度は、「財」が1.63%ポイント程度、「サービス」が2.02%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で1月18.9%→2月13.7%→3月▲0.9%となり、3月は前年比マイナスに転じた。水準で見ると22年10月をピークに下落傾向にあり、3月の前月比は▲2.2%だった。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.13%ポイント程度(2月は1.64%ポイント)となり、前年同月比インフレ率を2%弱押し下げたと見られる(前掲図表1)。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が1月6.7%→2月6.8%→3月6.6%、「サービス」(エネルギーを除く)が1月4.4%→2月4.8%→3月5.0%となり、財・サービスのいずれも高い伸び率が続いている(前掲図表2)。前年同月比寄与度は、「財」が1.63%ポイント程度、「サービス」が2.02%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で1月18.9%→2月13.7%→3月▲0.9%となり、3月は前年比マイナスに転じた。水準で見ると22年10月をピークに下落傾向にあり、3月の前月比は▲2.2%だった。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.13%ポイント程度(2月は1.64%ポイント)となり、前年同月比インフレ率を2%弱押し下げたと見られる(前掲図表1)。
飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で15.4%(2月15.0%)と、加速傾向にある。飲食料のうち加工食品の伸び率は15.7%(2月15.4%)、未加工食品は14.7%(2月13.9%)といずれも加速している(図表3)。飲食料の前年同月比寄与度は3.26%ポイント程度(2月は3.10%ポイント)と見られる。
総じて見ると、3月はエネルギー物価上昇率が大幅に低下し、全体の伸び率を押し下げたものの、エネルギー以外の財・サービス・飲食料物価はいずれも上昇しており、インフレ圧力は依然として根強いと言える。なお、物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると、総合指数が前月比0.3%(年率換算3.3%)、3か月移動平均後の3か月前比年率で3.5%となり、22年に記録した伸び率から急速に鈍化したが、ECBの目標値(2%)よりは高水準にある(図表4)。
総じて見ると、3月はエネルギー物価上昇率が大幅に低下し、全体の伸び率を押し下げたものの、エネルギー以外の財・サービス・飲食料物価はいずれも上昇しており、インフレ圧力は依然として根強いと言える。なお、物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると、総合指数が前月比0.3%(年率換算3.3%)、3か月移動平均後の3か月前比年率で3.5%となり、22年に記録した伸び率から急速に鈍化したが、ECBの目標値(2%)よりは高水準にある(図表4)。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中19か国が減速し、加速したのはスロベニアのみであった(図表5)。一方、前月比では20か国中すべてプラスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(2023年04月03日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/01/16 | ロシアの物価状況(24年12月)-前年比伸び率は9%台半ばまで上昇 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/01/08 | ユーロ圏消費者物価(24年12月)-総合指数は3か月連続上昇、2.4%に | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/01/08 | ユーロ圏失業率(2024年11月)-失業率・若年失業率ともに横ばい推移 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2024/12/24 | マクロで見る「手取り」の状況 | 高山 武士 | Weekly エコノミスト・レター |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2025年01月17日
トランプ2.0とEU-促されるのはEUの分裂か結束か?- -
2025年01月17日
分権から四半世紀、自治体は医療・介護の改正に対応できるか-財政難、人材不足で漂う疲弊感、人口減に伴う機能低下にも懸念 -
2025年01月17日
可処分所得を下押しする家計負担の増加~インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応~ -
2025年01月16日
iDeCo(個人型確定拠出年金)を有効活用する方法と注意点-拠出限度額引き上げで税制優遇の恩恵も大きく -
2025年01月16日
ロシアの物価状況(24年12月)-前年比伸び率は9%台半ばまで上昇
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【ユーロ圏消費者物価(23年3月)-総合指数は6%台まで低下】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ユーロ圏消費者物価(23年3月)-総合指数は6%台まで低下のレポート Topへ