2023年02月01日

ユーロ圏GDP(2022年10-12月期)-ガス需要期でも小幅なプラス成長を維持

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:10-12月期も前期比プラスを維持

1月31日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏GDPの一次速報値(Preliminary Flash Estimate)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国GDP(2022年10-12月期、季節調整値)】
前期比は0.1%、市場予想1(▲0.1%)を上回ったが、前期(0.3%)からは減速した(図表1)
前年同期比は1.9%、市場予想(1.7%)を上回ったが、前期(2.3%)から減速した(図表2)

(図表1)ユーロ圏の実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ユーロ圏の実質GDP成長率(需要項目別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様

2.結果の詳細:フランスやスペインはプラス成長を維持、ただし内需は弱い

2022年10-12月期の成長率は前期比0.1%(年率換算0.5%)だった。7四半期連続でのプラス成長となり、実質GDPの水準はコロナ禍前(19年10-12月期)と比較して+2.4%となった。ガス供給のひっ迫により、経済活動の縮小が危惧された冬場であったが、平年比で温暖な気候だったこともあり、小幅ながらもプラス成長を維持した。

経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると、前期比ではドイツ▲0.2%(7-9月期0.5%)、フランス0.1%(7-9月期0.2%)、イタリア▲0.1%(7-9月期0.5%)、スペイン0.2%(7-9月期0.2%)となった。スペインを除いて前期から伸び率を低下させ、ロシア産ガスへの依存度が高かったドイツとイタリアはマイナス成長となった。また、公表された10か国のうちでは6か国が前期比でプラス、4か国が前期比マイナスだった(図表3、前期は19か国すべてでプラス成長)。コロナ禍前を比較した実質GDPの水準は、大国4か国のうちスペインを除く国でコロナ禍前の水準を上回った。ただし、大国4か国はいずれもユーロ圏全体と比べて低い位置にある(図表4)。
(図表3)ユーロ圏主要国の10-12月期GDP伸び率/(図表4)主要国のGDP水準(コロナ禍前との比較)
次にフランスとスペインは各国統計局(フランス国立統計経済研究所(INSEE)、スペイン統計局(INE))がGDPの詳細を公表しているので、以下で見ていきたい。

フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費▲0.9%(前期0.5%)、政府消費0.2%(前期0.2%)、投資0.8%(前期2.3%)、輸出▲0.3%(前期0.8%)、輸入▲1.9%(前期3.9%)となった(図表5)。在庫変動は前期比寄与度▲0.2%ポイント、純輸出が前期比寄与度0.5%ポイントであり、10-12月期は消費を中心に内需が減少する一方、外需が成長率を押し上げた。なお、消費については暖冬や節約の効果によって特にエネルギー消費が減少した

産業別の付加価値は、工業が0.9%(前期▲0.6%)、建設業が▲0.4%(前期0.4%)、市場型サービス産業0.3%(前期0.5%)、非市場型サービス0.3%(前期0.2%)となった。より細かい業種では、卸・小売業が▲0.6%(前期0.4%)、製造業が▲0.3%(前期0.6%)と減速している。INSEEはストライキによる製造業での生産減を指摘している。
(図表5)フランスの実質GDP水準/(図表6)スペインの実質GDP水準
スペインの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費▲1.8%(前期1.8%)、政府消費1.9%(前期1.6%)、投資▲3.8%(前期▲0.6%)、輸出▲1.1%(前期0.4%)、輸入▲4.2%(前期3.1%)となり、こちらも個人消費や投資といった内需の縮小が目立つ(図表6)。産業別には、工業が0.1%(前期0.1%)、建設業が前期比▲0.3%(前期0.2%)、サービス業が前期比0.3%(前期0.4%)だった。より細かい業種では、卸・小売・運輸・住居・飲食の業種が前期比▲0.6%(前期0.9%)と低迷が目立っている。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2023年02月01日「経済・金融フラッシュ」)

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