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- 宿泊旅行統計調査2023年1月-外国人延べ宿泊者数の回復ペースが緩やかに。中国人観光客の回復に期待
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1. 外国人延べ宿泊者数は6ヵ月連続で回復したが、回復ペースは緩やかに
2023年1月の日本人延べ宿泊者数は3,309万人泊(12月:4,092万人泊)となり、2019年同月比は▲1.1%(12月:同7.8%)と4ヵ月ぶりにマイナスに転じた。1月10日から割引率を下げて全国旅行支援が再開されたが、日本人延べ宿泊者数はコロナ前を下回った。
2023年1月の外国人延べ宿泊者数は622万人泊(12月:598万人泊)となり、2019年同月比は▲32.5%(12月:同▲34.9%)と6ヵ月連続でマイナス幅が縮小した。外国人延べ宿泊者数は2022年10月11日の水際対策緩和以降、急回復していたが、回復のペースが緩やかとなった。
宿泊施設タイプ別客室稼働率をみると、旅館は28.7%、2019年同月差▲5.2%(12月:同1.8%)、リゾートホテルは43.6%、2019年同月差▲8.0%(12月:同▲1.8%)、ビジネスホテルは54.8%、2019年同月差▲11.5%(12月:同▲6.9%)、シティホテルは55.0%、2019年同月差▲14.1%(12月:同▲8.4%)、簡易宿所は17.1%、2019年同月差▲8.4%(12月:同▲7.4%)であった。2019年同月差では、旅館は再びマイナスに転じ、それ以外のタイプの宿泊施設でもマイナス幅が拡大した。
2. インバウンド需要回復のカギは中国
全国旅行支援は2023年1月10日以降、割引率を下げて運用が延長されている。割引率は20%で、割引上限額は交通付宿泊旅行の場合は一泊5,000円、それ以外の場合は3,000円、クーポン券は平日2,000円、休日1,000円である。なお、すべての都道府県でワクチンの3回接種証明書もしくは陰性証明書の提示が要件とされている。この全国旅行支援は3月末まで実施される予定である。
外国人延べ宿泊者数は、6ヵ月連続で回復している。日本への入国に際しては、有効なワクチン3回接種証明書または出国前72時間以内の陰性証明書の提出が求められるが、個人旅行の解禁、短期滞在のビザ免除再開、一日あたりの入国者数の上限撤廃など、水際対策が2022年10月11日に緩和され、為替レートはコロナ前に比べると円安の水準となっている。このことから、外国人は日本を観光しやすい状況になっている。さらに3月13日からマスク着用が個人の判断にゆだねられるため、マスク着用を好まない傾向にある外国人はさらに日本を訪れやすくなると思われる。
中国からの入国者に対する水際措置は3月1日から緩められた。引き続き出国前検査証明書は必要だが、到着時検査は一部の人を対象とするサンプル検査へと変更となった。インバウンド需要回復のためには中国人観光客の回復は欠かせないため、今回の規制緩和の効果には期待が高まる。
中国以外の国・地域からの観光客数は順調に回復している。中国からの観光客を日本に呼び戻すことができれば、インバウンド需要は今後も順調に回復していくだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年03月01日「経済・金融フラッシュ」)
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