2023年01月19日

貿易統計22年12月-原油高、円安に伴う輸入の大幅増を主因に、22年の貿易収支は約20兆円の赤字

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.22年の貿易収支は▲19兆9713億円の大幅赤字

財務省が1月19日に公表した貿易統計によると、22年12月の貿易収支は▲14,485億円の赤字となったが、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲16,528億円、当社予想は▲15,358億円)を下回る結果となった。原油安、円高の影響などから輸入の伸びが11月の前年比30.3%から同20.6%へと鈍化したが、輸出が前年比11.5%(11月:同20.0%)と輸入の伸びを大きく下回ったため、貿易収支は前年に比べ▲8,454億円の悪化となった。

輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲7.1%(11月:同▲3.6%)、輸出価格が前年比20.0%(11月:同24.4%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲6.4%(11月:同▲4.6%)、輸入価格が前年比29.0%(11月:同36.6%)であった。
貿易収支の推移/貿易収支(季節調整値)の推移
輸出金額の要因分解/輸入金額の要因分解
季節調整済の貿易収支は▲17,242億円と19ヵ月連続の赤字となったが、11月の▲17,794億円から赤字幅が若干縮小した。円高の影響などから、輸出(前月比▲3.5%)、輸入(同▲3.4%)ともに減少した。
原油価格(ドバイと入着ベース)の推移 12月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=95.2ドル(当研究所による試算値)と、11月の100.4ドルから低下した。足もとの原油価格(ドバイ)は、80ドル程度で推移しており、長期契約で販売する際に指標価格に上乗せされる調整金、船賃、保険料などを含めた通関ベースの原油価格は23年1月には80ドル台まで低下することが見込まれる。

海外経済の減速を背景に輸出が低迷する一方、原油価格の下落、円安の一服を受けて輸入価格が低下することから、先行きの貿易赤字は高水準ながらも縮小することが予想される。
22年12月分と同時に公表された22年の貿易収支は▲19兆9713億円の赤字となり、前年に比べて▲18兆1877億円の悪化となった。原油高、円安の影響で輸入が前年比39.2%の高い伸びとなり、輸出の伸び(同18.2%)を大きく上回った。

22年の貿易収支の悪化を要因分解すると、数量要因が▲1.5兆円(うち輸出が▲1.6兆円、輸入が0.1兆円)、価格要因が▲16.7兆円(うち輸出が17.0兆円、輸入が▲33.7兆円)となった。価格要因のうち、契約通貨ベースの価格変動が▲12.5兆円、為替変動が▲4.2兆円であった。契約通貨ベースのマイナスは主として原油をはじめとした資源価格の高騰によるもの、為替変動のマイナスは円安の影響が輸出価格よりも輸入価格により大きく表れたことによるものである。
貿易収支悪化の要因分解(2022年)

2.輸出は低迷が続く見込み

22年12月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲2.8%(11月:同1.0%)、EU向けが前年比10.2%(11月:同9.1%)、アジア向けが前年比▲12.4%(11月:同▲8.3%)、うち中国向けが前年比▲24.0%(11月:同▲16.3%)となった。

22年10-12月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲5.6%(7-9月期:同▲3.5%)、EU向けが前期比0.5%(7-9月期:同2.8%)、アジア向けが前期比▲6.8%(7-9月期:同▲1.3%)、うち中国向けが前期比▲13.5%(7-9月期:同4.5%)、全体では前期比▲3.4%(7-9月期:同▲0.4%)となった。

EU向けは堅調を維持しているが、ゼロコロナ政策と同政策解除後の感染拡大で経済の低迷が続く中国向けが急速に落ち込み、景気が減速している米国向けは低迷が続いており、輸出数量全体としては弱い動きとなっている。品目別には、世界的な半導体関連需要の低迷を受けて、半導体等電子部品、通信機などのIT関連が減少しているほか、供給制約の影響が残る自動車が一進一退の動きとなっている。

先行きの輸出は、金融引き締めの影響で景気減速がより鮮明となることが見込まれる欧米向けを中心に低迷が続く可能性が高い。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移/IT関連輸出の推移

3.10-12月期の外需寄与度は前期比0.3%程度のプラスに

12月までの貿易統計と11月までの国際収支統計の結果を踏まえて、22年10-12月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比1%台後半の増加、輸入が前期比0%台前半の増加となった。この結果、10-12月期の外需寄与度は前期比0.3%(7-9月期:同▲0.6%)のプラスとなることが予想される。

当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、1/31のweeklyエコノミストレターで22年10-12月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を押し上げることに加え、民間消費を中心に国内需要も底堅く推移することから、前期比年率2%台のプラス成長を予想している。
 
 

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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2023年01月19日「経済・金融フラッシュ」)

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