コラム
2022年11月07日

信託銀行が2カ月連続の買い越し~2022年10月投資部門別売買動向~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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2022年10月は、上旬から中旬にかけて米経済指標の結果で米金融引締めに対する見方が右往左往する中、方向感の乏しい展開となった。日経平均株価は6日に2万7,311円まで上昇したが、11日は2万6,237円まで下落した。中旬から下旬にかけては、米金融引締め鈍化の期待による米国株指数の上昇や、企業の決算内容を好感した買いが入り日経平均株価は上昇し、高値の2万7,587円で終えた。主な投資部門別で見ると、信託銀行、事業法人、海外投資家が買い越す一方で、個人が売り越した。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2022年10月(10月3日~28日)の主な投資部門別売買動向は、信託銀行が、現物と先物の合計で4,559億円の買い越しと、最大の買い越し部門であった。9月から2カ月連続で買い越しており、週ごとで見ると株価が大きく下落した9月下旬から買い越しに転じており、株安を受けた公的年金等の資産配分の見直しによる買いが背景と考えられる。
図表2 信託銀行は2カ月連続の買い越し
他には、事業法人が4,384億円の買い越しと17カ月連続で買い越した。海外投資家も3,133億円買い越したが、9月に3兆519億円と大幅に売り越していたことを踏まえると、売りから買いへの大幅なスタンス変更といえよう。
図表3 投資部門別の累積売買動向
その一方で個人は、現物と先物の合計で6,087億円の売り越しと10月最大の売り越し部門であった。特に10月第1週(3~7日)は6,844億円を売り越した。9月第4週に日経平均株価が下落幅約1,200円と大幅に下落する中で7,351億円買い越しており、10月第1週の株価上昇に合わせて売却したとみることができる。その他、10月は投資信託も1,581億円の売り越しとなった。
図表4 個人は株価下落時は買い、上昇時は売りの「逆張り」
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

(2022年11月07日「研究員の眼」)

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