2022年02月21日

株式の投資単位と株式分割-株式分割による投資単位の引下げを市場は好感

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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■要旨
 
  • 東京証券取引所は、「企業行動規範」において、個人投資家が投資しやすい環境を整備するため、望ましい投資単位として5万円以上50万円未満という水準を明示している。
     
  • 東証上場企業のうち約95%の投資単位は50万円未満である。
     
  • 投資単位が相対的に高い企業は、現時点で必要な流動性は確保されている等の理由から投資単位の引下げを行っていない。これら企業にとっては、投資単位の引下げは、株主数の増加に伴うコスト増や株主構成の変化等がある一方で、特段のメリットが見いだせないのであろう。
     
  • 投資単位を引き下げる方法として株式分割を実施した企業の株価の反応を確認したところ、企業による株式分割実施の発表に対し、株価はポジティブに反応する傾向が見られた。
     
  • 企業にとっては株主数、株主構成等が安定している方が良いというのはもちろんなのであろうが、投資単位の引き下げによって、市場から好意的に見られて株価が上がるというメリットがあるのかもしれない。そうした面も含めて投資単位の引き下げを真剣に検討する余地はあるのではないだろうか。


■目次

1――はじめに
2――約95%の企業が東証の推奨する投資単位50万円未満
3――株式分割実施企業と株価の反応
4――まとめ
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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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