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気候変動指数化の海外事例-日本版の気候指数を試しに作成してみると…
基礎研REPORT(冊子版)11月号[vol.308]
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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1―気候指数の目的
2―北米の気候指数
ACIは、高温、低温、降水、乾燥、強風、海面水位の6項目の乖離度をもとに計算される。1961~90年の30年間を参照期間として、各項目の計数値について、その期間の平均と標準偏差を求めておく。
ある月の乖離度は、その月の計数値から、参照期間中の平均を引き算し、その結果を標準偏差で割り算する。つまり、その月の計数値が、標準偏差の何倍くらい、平均から乖離しているかを計算する。
乖離度が標準正規分布に従うものと想定すると、-1から1の間に入る確率は約68.3%。乖離度が1を超える確率は約15.9%。2を超える確率は約2.3%。3を超える確率は約0.1%となる。乖離度を各項目で計算し、その平均をACIとする。
具体的には、項目ごとに、気象データ等を用いて、参照期間中の分布に照らして上側10%に入る日が何日あったかといった割合をもとに乖離度を計算していく。( 詳細は稿末に示すレポートに記載。)
3―北米の気候リスク指数
バージョン1.0は、アメリカの7つの地域のみが対象とされた。また、影響は、財産の損害に限られた。これは、信頼度の高い災害データとして、アメリカの財産の損害のみに限定したためとされる。
4―日本版の試作
まず検討すべき点は参照期間である。気象観測における「平年」と整合的であること、有用なデータが取得できることなどが要件となる。風速や潮位のデータについては、1960年代まではデータが一部欠損していたり、観測方法が異なっていたりする。これらを踏まえて、参照期間は1971~2000年に設定することとした。
地域区分をどのように設定するかは、気候指数を作成する上で、大きな検討点といえる。北米では12の地域に分けている。日本の場合、多くの地域がケッペンの気候区分でいう温暖湿潤気候に属する。
一方で、日本は、太平洋側と日本海側、沿岸部と内陸部では、高温、低温、降水などの気象が異なっている。このような地域ごとの気候の違いをもとに、日本独自の気候区分を設けることも考えられる。
ただ、今回は、初めての気候指数の試作ということもあり、取得データや計算システムの稼働能力にも制限や制約がある。そこで、地域区分を設けずに、東京、大阪、名古屋の3地点の指数を試作する。
北米と豪州では、各項目ごとに指数計算の細部に違いがある。そこで日本版での設定について項目ごとに検討していった。
そして最後に、6項目の指数をもとに、どのように合成指数を算出するのかが検討点となる。高温と低温はともに気温の項目で相互に関連があり、降水と乾燥は反対の事象を表すため負の相関があるものとみられる。また、風速は測定方法が変更されており、データの一貫性に難がある。そこで、高温、降水、海面水位の3項目の平均で合成指数を算出する。
5―今回試作した気候指数の推移
6―おわりに
*(参考文献等は「気候変動指数化の海外事例-日本版の気候指数を試しに作成してみると…」(基礎研レポート,2022年9月8日)を参照)
(2022年11月08日「基礎研マンスリー」)
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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