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サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量

中央大学 総合政策学部 佐々木 隆文
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このような中で注目されているのがScope 3排出量である。温室効果ガス排出量の国際的な規格であるGHGプロトコルでは企業活動からの排出量を自社内の直接排出(Scope 1)、電力消費等に伴う間接排出(Scope 2)、それ以外のサプライチェーンで生じる間接排出(Scope 3)に分類して計測、公表することを求めている。Scope 3では原材料や部品の生産、流通、従業員の通勤や出張、製品の使用や廃棄などバリューチェーン全体での排出量を対象としている。
自社内の直接排出(Scope 1)、電力消費等に伴う間接排出(Scope 2)よりもScope 3排出量が大きくなる企業は珍しくない。図表2はCDPでScope 3排出量を開示している企業を対象に、各カテゴリーでの排出量の平均値を比較したものである。Scope 3には15のカテゴリーがあり、企業によって算出、公表しているカテゴリーが異なるため単純比較はできないが、Scope 3排出量はScope 1、Scope 2排出量よりも遙かに大きくなっている。カテゴリー別では購入した製品・サービス、販売した製品の使用における排出量が特に大きくなっている。
容易に想像できるように、サプライチェーン排出量の算出は極めて困難な作業である。実際、Scope 3開示企業は豊富なリソースを持つ大企業が中心であるし、開示企業の中でも開示しているカテゴリー数にはバラツキがある。また、業態によって算出対象となるカテゴリーも異なってくるという側面もある。このようなことから、Scope 3開示の有効性を疑問視する向きもあるし、Scope 3排出量がシステマティックに企業評価に反映されているというエビデンスも現時点では存在しない。
(2022年10月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)
中央大学 総合政策学部
佐々木 隆文
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