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- インフレは賃金上昇に必要か?
2022年09月14日
■要旨
賃金上昇のためにインフレが必要との提言がされている。しかし、賃金や生活水準の向上に必要なのはその源泉である経済(付加価値)の増加である。インフレで、それが実現するのだろうか。一方、デフレはわが国経済に価格の粘着性を生んでおり、この解消のためにインフレが必要との提言も聞かれる。重要な指摘だが、インフレが価格体系を柔軟化しても、それで賃金が上昇し生活水準の向上(実質賃金・所得の向上)も図れるのだろうか。過去においては、賃上げは多くの場合インフレ率を下回り、人々の生活は苦しくなった。また将来不安から消費が控えられ、経済も不安定化した。それでもインフレが必要なのだろうか。本稿では、インフレと賃金・所得の関係について論じてみたい。
■目次
1――はじめに
2――賃金上昇がインフレと無関係の事例
3――ミクロとマクロの混同
4――賃金と物価の循環
5――インフレーション・ターゲットの役割
6――価格の粘着性の打破
7――インフレのもたらすマイナス効果
8――「デフレ脱却」の意義
賃金上昇のためにインフレが必要との提言がされている。しかし、賃金や生活水準の向上に必要なのはその源泉である経済(付加価値)の増加である。インフレで、それが実現するのだろうか。一方、デフレはわが国経済に価格の粘着性を生んでおり、この解消のためにインフレが必要との提言も聞かれる。重要な指摘だが、インフレが価格体系を柔軟化しても、それで賃金が上昇し生活水準の向上(実質賃金・所得の向上)も図れるのだろうか。過去においては、賃上げは多くの場合インフレ率を下回り、人々の生活は苦しくなった。また将来不安から消費が控えられ、経済も不安定化した。それでもインフレが必要なのだろうか。本稿では、インフレと賃金・所得の関係について論じてみたい。
■目次
1――はじめに
2――賃金上昇がインフレと無関係の事例
3――ミクロとマクロの混同
4――賃金と物価の循環
5――インフレーション・ターゲットの役割
6――価格の粘着性の打破
7――インフレのもたらすマイナス効果
8――「デフレ脱却」の意義
大阪経済大学経済学部教授 ニッセイ基礎研究所 客員研究員 高橋 亘
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