2022年08月31日

株式としてみたJ-REIT投資。その資産特性を考える~「高配当利回り」、「安定配当」、「低β」の特性に着目したJ-REIT投資~

金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人

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■要旨
 
  • 少額の資金で実質的に不動産投資を実現できるJ-REIT(不動産投資信託)は、資産形成やインカム収入の確保に向けて有力な投資先の1つだが、J-REITを保有する個人投資主の数は伸び悩んでいる。
     
  • J-REITの普及に向けたアプローチ先として、1,400万人を超える個人株主が考えらえる。そこで、本稿では、株式としてみたJ-REITの資産特性を確認し、個人株主にとってのJ-REIT投資の意義について考察する。
     
  • まず、J-REITの特性として、「高い配当利回り」が挙げられる。過去19年間の平均配当利回りは4.2%で、国内株と比べて高い水準で推移し、両者の利回り格差は平均2.4%である。
     
  • 次に、「安定配当」もJ-REITの特性の1つである。J-REITの保有資産は全て賃貸不動産で構成され、業績の安定性が高い。配当変動率について、TOPIX33業種と比較すると、J-REITは「倉庫・運輸」・「小売」に次いで3番目に低い水準にある。
     
  • ただし、J-REITの特性である「高配当利回り」や「安定配当」は、株式投資において期待される「配当成長力」とトレードオフの関係にあることに留意したい。
     
  • また、J-REITの価格変動を確認すると、株式市場の値動きに対する感応度を示す「β値」は0.59で、「電気・ガス」に次いで2番目に低く、いわゆる「公共株」に近い特性があると言える。
     
  • 「高配当利回り」・「安定配当」・「低β」の特性を持つJ-REITに投資することで、個人投資家はインカム収入の拡大や安定性向上、運用戦略の広がりが期待できそうだ。


■目次

1――J-REITの個人投資主数は伸び悩み。金額ベースの保有比率は7年間で▲2.5%低下
2――海外投資家は株式ポートにREITを組み入れ。GPIFは日本株の枠内でJ-REIT投資を開始
3――株式としてみたJ-REIT投資。J-REITは、「高配当利回り」・「安定配当」・「低β」の特性
  1|J-REITの過去19年間の平均配当利回りは4.2%。配当の安定性も高い
  2|株式としてみたJ-REITの価格変動。TOIX33業種との比較で、「R²値」・「β値」が低い
4――おわりに
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金融研究部   不動産調査室長

岩佐 浩人 (いわさ ひろと)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

経歴
  • 【職歴】
     1993年 日本生命保険相互会社入社
     2005年 ニッセイ基礎研究所
     2019年4月より現職

    【加入団体等】
     ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
     ・日本証券アナリスト協会検定会員

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