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2022年08月31日
株式としてみたJ-REIT投資。その資産特性を考える~「高配当利回り」、「安定配当」、「低β」の特性に着目したJ-REIT投資~
03-3512-1858
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1――J-REITの個人投資主数は伸び悩み。金額ベースの保有比率は7年間で▲2.5%低下
J-REIT(不動産投資信託)は、エクイティ資金及び借入金を調達して賃貸不動産に投資し、そこから得られる不動産収益を原資に、利益のほぼ全額を投資家に還元する金融商品である。個人投資家にとって、少額の資金で実質的に不動産投資を実現できるJ-REITは、長期の資産形成やインカム収入の確保に向けて有力な分散投資先の1つだと言える。
しかし、J-REITを保有する個人(以下、個人投資主)の数は伸び悩んでいる。日本取引所グループの「REIT投資主情報調査(2022年2月)」によると、個人投資主数(延べ人数)1は前年比▲2.8万人減少の84.8万人、金額ベースの保有比率は前年比▲0.6%低下の7.2%となった(図表―1)。直近7年間の推移をみると、個人投資主数は市場拡大にあわせて1.6倍(年率+7%)に増加したものの足もとで頭打ちとなり、保有比率はこの間▲2.5%低下(9.7%→7.2%)した。
しかし、J-REITを保有する個人(以下、個人投資主)の数は伸び悩んでいる。日本取引所グループの「REIT投資主情報調査(2022年2月)」によると、個人投資主数(延べ人数)1は前年比▲2.8万人減少の84.8万人、金額ベースの保有比率は前年比▲0.6%低下の7.2%となった(図表―1)。直近7年間の推移をみると、個人投資主数は市場拡大にあわせて1.6倍(年率+7%)に増加したものの足もとで頭打ちとなり、保有比率はこの間▲2.5%低下(9.7%→7.2%)した。
また、他の金融商品と比較した場合、株式を保有する個人(以下、個人株主)の数は約6,460万人(J-REITの76倍)、ここ数年で急速に普及した暗号資産の個人による設定口座数は約429万口座(J-REITの5倍)で2、J-REITを大きく上回る。もちろん、これらの数値は延べ数ベースであり、それぞれの市場規模や歴史、投資目的などが異なるため、単純に比較することはできない。しかし、J-REIT市場において個人投資家へのさらなる普及活動が求められるとともに、その拡大余地が依然として大きいことを示唆している。
その普及に向けたアプローチ先の1つに、1,400万人3を超える個人株主が考えられる。実際、J-REITと株式は取引方法や情報開示の面で共通点が多く(図表―2)、今ある証券口座を利用できるためJ-REIT投資のハードルは極めて低い。仮に、個人株主の20人に1人(約70万人)が新たにJ-REITの投資主になれば、その数は倍増する見込みである。
そこで、本稿では、株式としてみたJ-REITの資産特性を確認し、個人株主にとってのJ-REIT投資の意義について考えたい。
その普及に向けたアプローチ先の1つに、1,400万人3を超える個人株主が考えられる。実際、J-REITと株式は取引方法や情報開示の面で共通点が多く(図表―2)、今ある証券口座を利用できるためJ-REIT投資のハードルは極めて低い。仮に、個人株主の20人に1人(約70万人)が新たにJ-REITの投資主になれば、その数は倍増する見込みである。
そこで、本稿では、株式としてみたJ-REITの資産特性を確認し、個人株主にとってのJ-REIT投資の意義について考えたい。
1 各REITの投資主数を単純に合算した「延べ人数」ベース。したがって、1人当たりの平均保有銘柄数が2社の場合、実際の投資主数は42.4万人、4社の場合、実際の投資主数は21.2万人となる。
2 「2021年度株式分布状況調査」(日本取引所グループ、2022年7月7日)、「暗号資産取引についての年間報告2020年度」(日本暗号資産取引業協会、令和3年11月19日)
3 日本経済新聞(2022年7月8日、朝刊)
2――海外投資家は株式ポートにREITを組み入れ。GPIFは日本株の枠内でJ-REIT投資を開始
海外では主要な株式指数にREITが採用されているため、多くの海外投資家は自身の株式ポートフォリオにREITを組み入れている。例えば、米国株の代表的指数であるS&P500はUS-REIT30社を採用し、時価ウェイトは約3%である(6月末時点)。また、世界的な株式指数であるMSCI指数やFTSE指数にJ-REITが採用されており、グローバル分散を図る海外投資家にとって、J-REITは日本株として投資対象に含まれることになる4。
一方、日本株の代表的指数である東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価にはJ-REITが採用されておらず、株式として位置付けられていない状況にある。しかし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は国内株のベンチマーク多様化の一環としてJ-REITを含む株式指数を採用し、2014年より国内株ポートフォリオの枠内でJ-REIT投資を開始した。現在、GPIFによるJ-REIT保有額は約1,782億円で、国内株ポートフォリオに占める割合は0.4%である(3月末時点)。もちろん、時価総額対比でみたJ-REITのウェイトは2.3%で(図表―3)、この比率からすればGPIFの投資額はまだまだ小さい規模だと言える。しかし、GPIFが投資実績を重ねることで、国内でもJ-REITを株式として扱うことへの抵抗感は和らぎつつある。
一方、日本株の代表的指数である東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価にはJ-REITが採用されておらず、株式として位置付けられていない状況にある。しかし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は国内株のベンチマーク多様化の一環としてJ-REITを含む株式指数を採用し、2014年より国内株ポートフォリオの枠内でJ-REIT投資を開始した。現在、GPIFによるJ-REIT保有額は約1,782億円で、国内株ポートフォリオに占める割合は0.4%である(3月末時点)。もちろん、時価総額対比でみたJ-REITのウェイトは2.3%で(図表―3)、この比率からすればGPIFの投資額はまだまだ小さい規模だと言える。しかし、GPIFが投資実績を重ねることで、国内でもJ-REITを株式として扱うことへの抵抗感は和らぎつつある。
4 J-REIT市場における海外法人等の保有比率は25.1%である。(2022年2月末時点)
3――株式としてみたJ-REIT投資。J-REITは、「高配当利回り」・「安定配当」・「低β」の特性
以下では、株式としてみたJ-REITの資産特性について確認する。
1|J-REITの過去19年間の平均配当利回りは4.2%。配当の安定性も高い
まず、J-REITの特性として、「高い配当利回り」が挙げられる。過去19年間5のJ-REITの平均配当利回りは4.2%で、国内株と比べて常に高い水準で推移し、両者の利回り格差は平均2.4%である(図表―4)。また、TOPIX33業種と比較しても、J-REITは最も高い「石油・石炭製品(2.9%)」を1.3%上回り、頭1つ抜けた水準にある(図表―5)。3月末時点の配当利回りは3.7%、国内株との利回り格差は1.6%で、現在の水準は過去平均と比べてやや低いものの、配当利回りの高さは引き続きJ-REIT投資の魅力の1つであろう。
まず、J-REITの特性として、「高い配当利回り」が挙げられる。過去19年間5のJ-REITの平均配当利回りは4.2%で、国内株と比べて常に高い水準で推移し、両者の利回り格差は平均2.4%である(図表―4)。また、TOPIX33業種と比較しても、J-REITは最も高い「石油・石炭製品(2.9%)」を1.3%上回り、頭1つ抜けた水準にある(図表―5)。3月末時点の配当利回りは3.7%、国内株との利回り格差は1.6%で、現在の水準は過去平均と比べてやや低いものの、配当利回りの高さは引き続きJ-REIT投資の魅力の1つであろう。
ただし、J-REITは「配当成長力」の面で国内株に見劣る。過去19年間の配当成長率(年率)はJ-REITが2.0%、国内株が8.2%で、この間の成長格差は歴然である(図表―8)。国内株は業績拡大に加えて配当性向の引き上げなど株主還元を強化するなか、配当水準は19年間で4.4倍に拡大した。これに対して、J-REITは19年間で1.4倍に拡大しており決して悪い成績ではないが、J-REITはもとより株主還元の拡大余地に乏しく、内部留保がほぼゼロのためいわゆるサスティナブル成長7が期待できない。したがって、J-REITの特性である「高配当利回り」や「安定配当」は、株式投資において期待される「配当成長力」とトレードオフの関係にあることに留意したい。
5 期間は、東証REIT指数の算出が開始された2003年3月末から2022年3月末とした。
6 利益超過分配(減価償却費の一部を資本の払い戻しとして分配)やこれまでの内部留保の取り崩しなどを実施するJ-REITが増加し、2021年度の配当性向は100%を超える。
7 内部留保を事業に再投資することで期待される成長のこと。「サスティナブル成長率=ROE×内部留保率」となる。
(2022年08月31日「基礎研レポート」)
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